新型コロナに関する中国フェイクニュース
Japan In-depth / 2021年8月22日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・新型コロナの発生源について、中国主要メディアが虚偽の情報を流した。
・発生源をめぐる論議の中で中国メディアが取り上げた学者は、実在しないことが明らかに。
・中国メディア全体の信憑性にも疑問符がつく。
中国のフェイクニュースとはこういうことなのか。
中国当局は新型コロナウイルスの発生源の論議となると、ここまでのどぎつい虚報までをも平然と流すということなのか。
こんな現実を実感させられる出来事が起きた。中国の主要官営メディアが正面からの虚構の話を実際のニュースのように大々的に報じたのだった。そのテーマは中国当局がいまおそらく最も気にかける新型コロナウイルスの発生源だった。
事の発端は7月下旬の中国の国営中央テレビの国際放送CGTNや官営新聞の環球時報の英語版グローバル・タイムズの報道だった。この両メディアとも中国共産党政権の対外発信には最も頻繁に、なおかつ最も権威ある媒体として機能することは広く知られてきた。
今回のその報道の骨子は以下のようだった。
・スイス人の権威ある生物学者ウィルソン・エドワーズ氏が「コロナウイルスの発生源に関してアメリカは世界保健機関(WHO)に対して不当な圧力をかけている」と言明した。
・エドワーズ氏は「アメリカはコロナウイルスの発生源について中国を攻撃することの妄想に取りつかれているため、科学的な事実やデータを客観的にみることができなくなったのだ」とも言明した。
・エドワーズ氏はさらに「バイデン政権はWHOに対する影響力を増そうとして、いまや露骨にその幹部たちに圧力や脅しをかけて、コロナウイルスは武漢ウイルス研究所から流出したという根拠のない説を受け入れさせようとしている」とも述べた。
以上の中国側の報道の背景には新型コロナウイルスの発生源について、中国側が動物からの人間への自然感染説を唱えるのに対して、アメリカ側の複数の機関の調査では武漢ウイルス研究所からの流出だという説が強まってきた、という実態がある。
もっとも中国政府はこの自然感染説を裏づける発生源の動物の発見に全力をあげ、コウモリ数万匹をも捕獲して、ウイルス保有の有無を調査したが、これまで一匹もウイルス保有の例は報告されていない。
▲写真 調査のため武漢華南海鮮卸売市場を訪れるWHOの視察団(2021年1月31日 武漢) 出典:Photo by Getty Images
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