仏マルセイユ麻薬抗争 14才少年射殺
Japan In-depth / 2021年9月4日 23時0分
1960年代頃から、スラム街の環境を改善するために、市によってスラム街があった工場周辺などに低所得者用の住宅が多く建設された。その結果、貧困者が多く住む町が作られることになったのである。そんな町がある場所の一つが、14歳の少年が殺害されたマルセイユ北部にある14区である。
今回、マクロン大統領は、14区のバッサンス地区を訪れた。そのため、大統領が来るというので前日に大規模な清掃が行われたという。町の人はこの様子を見て、「こんなにきれいになった道を見たことがない」と驚く。いつもは、ゴミにまみれた道を歩き、子供たちは天井が崩れ落ちていたり、トイレが詰まっているような劣悪な環境の学校に通う、そんな日々なのだ。学校に通う子供の親は、学校の状態を嘆き、「単に他の学校と同じ待遇を受けたいだけです。普通の扱いをしてほしい」と訴えている。
このように貧困者が多くすむ北部は、裕福者の住む地域とは長らく分断して生活してきたが、現在になっても市内には地下鉄路線がほとんど配備されておらず、北部が孤立し続ける原因にもなっている。
こういった北部と南部の分断は、コロナのワクチン接種率にも表れている。一回目ワクチン接種率の全国の平均が73.9%のところ、遅れているとはいえそれでも南部では、多く接種しているところでは64.9%が終了しているものの、なんと北部は37.2%しか接種していない地域もあるのだ。
このため、北部地域では、インターネットで予約の仕方などを知らない人ために、予約無しで受けられ、毎日休み無しで開いている接種センターを設けたりなどの対策が取られているところだ。
大規模なマルセイユへの投資計画
また、もちろん問題は北部だけでない。マルセイユ中心地にも老朽化した建物が建ちならんでおり、いつ崩れるかわからず不安の中で暮らしている人々もいる。2018年には、2棟の建物が倒壊したこともあった。その倒壊では8人の命が奪われた。現在、マルセイユには4万件の価値のない建物が存在するのだ。
こういった事情をうけ、今回大規模なマルセイユの投資計画が実行される予定となったのである。市内の444校のうち200校を12億ユーロで大規模な改修計画、マルセイユに新しい警察署を建設し、200人の警官を迎えるために1億5000万ユーロ、その他にも住宅の改修、交通ネットワークの整備を行っていく。
同時に、若者への教育の充実、失業者を無くすための研修の充実など平行して行っていくことになっており、2020年の新年度には、30人の教育者と30人の仲介者を増員し、少人数の中学校と少人数の高校各10校を、困難を抱えている地域に開校することを予定している。
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