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「新しい“日本型”資本主義の価値」続:身捨つるほどの祖国はありや 9

Japan In-depth / 2021年9月15日 23時0分

では、何人かの首相候補のなかで誰が良いのか。





私にわかろうはずがない。





しかし、私は、いわば二階さんの首に鈴をつけたのが岸田さんだった事実はきわめて重い気がしている。あのとき、岸田さん以外の首相候補たちはなにをしていたか。右と左を見ることに忙しかったのではないか。





岸田さんは胆力を示したのである。胆力とは、限られた情報で決定的な判断をくだす能力をさす。菅さんが辞めたあとでなら、なんでも言える。二階さんが幹事長でなくなることが決まってからなら、言いたい放題になる。





その胆力を岸田さんだけが備えていた。それまでの、温厚で誠実な方であるという大方の見解だけの人物ではないことを、最も困難な局面で、見事に示して見せた。歌舞伎の大見得のようですらある。









▲写真 自民党総裁選へ出馬表明を行う岸田文雄氏 出典:岸田文雄事務所公式Facebook





実のところ、日本という国にとっての最も困難な局面は、これから来るのだ。そのとき頼ることのできるリーダーを国民は初めて手にした。もちろん、その困難とはコロナではない。米中対立のもとでの日本の針路選択である。





その時は、来たる可能性が無視できないほどに高い。





私の念頭にはウィンストン・チャーチルがある。ヒトラーとの戦争にひるまないどころかいっそう高揚し、爆撃下のイギリス国民を鼓舞しつづけたチャーチルである。負けそうな戦いでも、勝ち抜くべく頑張らなくてはならない時も歴史にはある。そこで怖じ気づけば、それが歴史となる。あのときのイギリスには、ドイツと降伏的な妥協をする道はあった。それをしないためにチャーチルが首相になったのである。いるべきところに、いるべき人物がいたということである。





日本にも、いるべきときにそれにふさわしい人がいたということになることを、私は切に望む。岸田さんは、ここ1年で大成長した、あるいは、本質が顕わになったということである。





岸田さんは、新しい日本型資本主義を提唱している。それは、私の考えるコーポレートガバナンス論と共通する。





上記の本のなかで、私は、小熊英二氏の『日本社会のしくみ』(講談社現代新書)にふれながら、こう書いている。頁は小熊氏の著書である。著者は小熊氏を指す。





「『他国の長所とみえるものを、つまみ食いで移入しようとするものが多かった』と批判する著者ならではの結論である(571頁)。いつもコーポレートガバナンスのことを考えている筆者には、ひょっとすると最近のコーポレートガバナンス改革のことを批判しているのかと思わないではいられなかったほどである。





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