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中国不動産バブル崩壊の本質

Japan In-depth / 2021年9月25日 12時0分

ただ、不動産バブルの本質は以下が主因ではないだろうか。





中央から地方へ派遣されるエリートは、地方での実績こそが出世の重要なメルクマールとなる。そこで、マンション建設、特に、商業施設を伴ったマンション群を建設すれば、GDPは急増するだろう。





他にもGDPを増やすには、オブジェ等を購入する手もある(例えば、庁舎の庭に値の張る現代アートの彫刻を置く)。しかし、それよりもマンションを建設すれば、不動産会社のみならず、鉄・コンクリート等の建設会社が潤う。電気・水道・ガス等のライフライン関連の会社も儲かる。そして、マンションに人が住めば、家電やインテリア製品が必要になり、購入するだろう。地方経済は活性化するに違いない。





けれども、中央から派遣されたエリートは、決してその地方に長く留まる事はない。赴任期間は限られている。彼らはGDP上昇の実績を持って、また他の地方へ赴任する。





当然、中央のエリートは、ある程度、市場調査を行ってマンションの建設に取りかかるだろう。だが、綿密な市場調査を行うことは少ないのではないか。また、そのマンションが、後でどうなるかは深く考えないだろう。本人の実績が何より大切だからである。





そのため、中国全土で200から300の「鬼城」(ゴーストタウン)が現出している(内モンゴル自治区オルドス市康巴什<カンバシ>新区の「鬼城」が有名)。「鬼城」には、少なくとも20億人から30億人が住めるという(40億人説もある)。つまり、中央のエリートをトップとする地方政府こそが、不動産バブルを創出したのである。









▲写真 内モンゴル自治区オルドス市康巴什新区付近に建設された集合住宅の密集地帯(2011年8月16日) 出典:Photo by In Pictures Ltd./Corbis via Getty Images





一方、地方の有力者としても、同地域の発展は望ましい。マンションが建てば、その周辺に必ず道路ができる。マンションに人が住めば、周囲に商店街ができ、街は賑う(これが中国の急激な都市化の一因かもしれない)。





ところで、不動産バブルは、おそらく中国人の気質も関係しているのではないか。事実、中国人は“投資”を好む。もっと正確にいえば、“投資”よりも“投機”を好む。一攫千金の夢を見る人が多い。





まず、自分が住むためのマンションを購入する。次に、余裕ができると、利殖用マンションを買う。中国の金持ちは、普通、マンションを2部屋、3部屋持っている。マンションを人に貸す場合もあるが、一般的に売買目的が多い。これも不動産バブルを作り出す一因となっているのではないか。





無論、中央政府は、個人の不動産売買を規制している。だが、「上に政策あれば、下に対策あり」である。北京がいくら規制しても、中国人は巧妙にその規制を逃れるようにして、不動産売買を行う。これが、中国不動産バブルの実態ではないだろうか。





トップ写真:中国・内蒙古自治区オルドス市のカンバシ新区を見下ろす中央広場を歩く数人の観光客と清掃員。30万人の居住者の収容を予定したが、居住率は10%未満に止まっており、ゴーストタウンと呼ばれている。(2011年8月16日) 出典:Photo by In Pictures Ltd./Corbis via Getty Images




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