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見えぬ各候補の対露方針 「2島返還」か「4島返還」回帰か

Japan In-depth / 2021年9月25日 19時0分

エリツィン大統領と細川護熙首相(いずれも当時)による東京宣言には、国後、択捉、歯舞、色丹の4島名が列記され、その「帰属問題を解決して平和条約を締結する」と明記されていた。森喜朗首相(同)とプーチン大統領によるイルクーツク声明もまた、東京宣言を、そのまま踏襲した。





これらは、旧ソ連時代の「領土問題は解決済み」などという先方のかたくなな態度を押し切った成果であり、「一歩も前進しなかった」などという発言は、事実に反することは明瞭だろう。





■ロシアには最初から返還の意思なし





安倍発言の是非は措くとして、首相の目論見は、2島返還を実現させておいて、国後、択捉については、共同経済活動で得られるメリットをもって、返還に代えようところにあったようだ。





共同経済活動は、漁業、養殖漁業、観光、医療、環境など幅広い分野にわたっている。





しかし、ロシアが不法占拠をしている日本固有の領土での経済活動に、どちらの法律を適用するのかなどという難問に加え、日本が資金だけをつまみ食いされるのではないかという危惧が指摘され続けてきた。 





そもそも、日本側の大幅譲歩にもかかわらず、ロシア側の態度は硬く、これに応じる姿勢を見せなかったことが、その後の問題の進展を阻んだ最大の理由だった。





シンガポール合意直後の2019(平成31)年1月、モスクワで行われた首脳会談では全く前進がみられず、期待を裏切られた安倍首相は意気消沈の表情を隠さなかった。





ロシア側は2020(令和2)年7月には、領土割譲を禁止する条項を含む憲法改正を強行。プーチン氏は、これが北方領土にも適用されると明言、ロシア側の不当な態度はいよいよ明らかになった。





むしろ、ロシア側は最初から返還に応じる考えなどなかったとみるべきだ。





■方針明確にし、有権者の意志を問え





安倍政権が退陣した後、後任の菅政権は、コロナ対策にエネルギーを費やすことを余儀なくされ、北方領土問題では、その基本姿勢すらうかがうことができなかった。





それだけに政権担当に名乗りをあげている各候補者にとっても、対ロ政策、北方領土問題であらためて方針を示すチャンスであるはずだが、その口から、明確な説明をきくことができずにいることは残念というほかはない。





4候補のうち、河野太郎氏は、シンガポール合意時の外相として交渉の責任者に指名され、ロシア側の責任者、ラブロフ外相と実際の交渉に当たった。





その前任外相の岸田文雄氏は、ラブロフ外相とウォッカを酌み交わして長時間、議論したといわれる。





それぞれ、過去の経験をもとに、どんな考えで交渉に臨むのか、ぜひとも聞いてみたいところだ。 





領土問題は、主権にかかわる重大な問題でありながら、安倍政権は、解散・総選挙によって民意を問うこともせずに、いとも簡単に、「4島返還」を放棄した。





新総理・総裁が選出された後、時を置かず、衆院議員の任期満了を迎え、総選挙が予定されている。





「2島返還」か「4島返還」への回帰かー。各候補は、首相に就任した後でも、ただちにその方針を明確にし、国民の信を問う総選挙に臨んでほしい。





トップ写真:千島列島 出典:Photo enhanced by maps4media via Getty Images




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