河野氏が岸田氏に負けたわけ
Japan In-depth / 2021年10月1日 0時24分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・自民党総裁選、河野候補は意外なほど議員間に支持が広がらなかった。
・戦略ミスは、党内に支持が広がらない政策を前面に打ち出したこととなど。
・次の政権の政策運営を円滑に進めるため自民党議員らが選んだのが岸田氏だった。
29日、岸田文雄新総裁が誕生した。第1回目の議員票で河野太郎候補は高市早苗候補の後塵を拝した。世論に近いとされる党員票で圧倒した河野候補は意外なほど議員間に支持が広がらなかった。
8月から9月頭、菅総理が辞任を表明する頃と比べ、自民党の支持率が快復してきたことで総選挙の顔を誰にするか気にする必要が無くなり、国会議員の間で河野氏より岸田氏を選ぶ空気が一気に醸成された、という解説をどこかで読んだが、私はそれだけではなかったと思う。
今回河野氏が負けた理由はいくつかある。
第一に、議員間に支持が広がらない政策を前面に打ち出したことだ。
まず河野氏は、総裁選当初から「基礎年金の税方式化」を打ち出した。9月18日の日本記者クラブ主催の候補者討論会の場だった。基礎年金の財源を全額消費税とする「最低保障年金」を掲げたことで、他候補から異論が相次いだ。(参考:「自民党総裁選候補者討論会 基礎年金、原発ゼロなどで火花」)
▲写真 自民党総裁選候補討論会に臨む4候補(2021年9月18日) 出典:日本記者クラブ
岸田候補は、旧民主党政権時7万円の最低保障年金の議論があり、当時自民党がこれを攻撃したことを上げ、「あの時は8%消費税を上げなければいけないということで、これは実現不可能だと言ってきた。税でやるとした場合に、実際消費税が何%上がるのかをしっかり示して、議論をすることが大事だ」と問うたが、河野氏は明確には答えなかった。
もう一つは「原発ゼロ」だ。河野氏は2012年から、「原発依存ゼロ」とともに、「使用済み核燃料の再処理もゼロ」、すなわち核燃料サイクル事業からの撤退も主張している。河野氏は上記討論会で、「耐用年数がきたものはだんだん廃炉にしていくということになれば、原子力は緩やかに減っていきます」とトーンダウンした。特に「核燃サイクル撤退」については、他候補から疑問の声が相次いだ。
実現可能性の低い政策を掲げ、党内にハレーションが起きたことは否めない。河野総理が誕生したら、こうした政策を強硬に推し進めるのではないか、という危惧が議員間に広まったと思う。
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