「ロシア疑惑」は捏造だった
Japan In-depth / 2021年10月1日 19時37分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・トランプ氏のロシア疑惑、民主党陣営の捏造だったことを示すような新展開。
・大陪審、FBIにロシア疑惑を報告したサスマン弁護士を虚偽証言の罪で起訴。
・民主党ヒラリー選対に雇われていた同弁護士の提供した情報は虚偽認定された。
アメリカの共和党ドナルド・トランプ前大統領に対して突きつけられ、議会での大統領弾劾の手続きにまでいたった「ロシア疑惑」が実は政敵の民主党陣営による捏造だったことを示すような新展開がワシントンで起きた。
「ロシア疑惑」の逆転とも呼べそうだ。この疑惑を叫んでいた側こそが不正な工作をしていたという実態が疑惑を越えて、明るみに出てきたのだ。疑惑を広めた側の首謀者が実は虚偽の証言をしていた容疑で9月中旬、首都ワシントンの連邦大陪審で起訴されたのである。
ロシア疑惑といえば、トランプ前大統領陣営が前々回の2016年の大統領選挙中、ロシア政府と共謀して、選挙での投票を不正に操った、と断じる指摘だった。
だがトランプ政権を最初から悩ませたこの疑惑も核心のトランプ陣営とロシア政府との共謀については全面的にシロとなった。
真相解明のために司法長官から任命された特別検察官のロバート・モラー氏とその捜査陣が2年近くも徹底した捜査を続けたが、2016年の大統領選挙中にトランプ選挙陣営がロシア政府機関と共謀して、大統領選でのアメリカ有権者の投票を不正に操作したという糾弾に対してはその証拠はなにもなかったという結論を出したのだった。
ところが今回の展開では実はこの「疑惑」は当初から民主党組織の綿密な計算による選挙工作での虚構だったという証拠が提示されたのだ。
▲写真 ロバート・モラー特別検察官(2019年7月24日) 出典:Photo by David Hume Kennerly/GettyImages
この展開はバイデン政権下でも民主党対共和党の対立の構図に影響を与えかねない。
共和党側ではトランプ氏はなお人気が高く、同氏を中心にこれからの民主党との中間選挙やその後の次回の大統領選挙での戦いでも、トランプ氏への評価は大きなカギとなるからだ。
そのトランプ氏が実際には「ロシア疑惑」という無実の罪で追及されてきたということになれば、同氏への支持は単なる共和党保守層を越えて中間層にまで広がるという可能性も考えられるわけである。
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