日本外交は当面「海図のない航海」続く
Japan In-depth / 2021年10月5日 23時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2020#40」
2021年10月4-10日
【まとめ】
・東アジアの地政学的戦略環境は激変。日本外交は当面「海図のない航海」が続く。
・内閣記者会が新総理に首相会見での一社一問一答の制限を撤廃し、より多くの社を参加させ、司会もメディア側にやらせろと申し入れ行った。
・日本では首相会見も一時間近くやり、ぶら下がり取材にも応じている。諸外国では首脳レベルの記者会見はせいぜい30分らしい。
昨4日、岸田文雄内閣が発足した。驚いたことに内閣官房参与に再任され、先ほど辞令交付式があった。他の多くの参与も再任されていたので、何となく、ほっとした。この数年、東アジアの地政学的戦略環境は激変しており、日本外交は当面「海図のない航海」が続くように思える。これまで同様、できることをやっていこう、と思う。
今週のJapanTimesに岸田政権の中国政策について書いた。日本メディアでは相変わらず「政局」を中心とする的外れな内政・外交記事が散見されるが、そうした傾向は海外メディアも同様らしい。例えば、NYTやワシントンポストの日本内政記事は自民党のステレオタイプ分析ばかりで、同党内の真の変化が見えていないようだ。
という訳で、今週の外交安保TVは、米国某有力紙の在京特派員をゲストにお呼びし、アメリカ人から見た日本の内政を語ってもらう予定である。勿論日本語で・・・。これができる特派員は決して多くないので、筆者個人的にも非常に楽しみにしている。ご関心のある向きは、今週後半の掲載となるだろうが、ご一見願いたい。
今週もう一つ気になったのが日本のジャーナリズムのあり方だ。先週内閣記者会が新総理に、首相記者会見での一社一問一答などの制限を撤廃し、より多くの社を参加させ、会見の司会も内閣広報官ではなくメディア側にやらせろ、といった申し入れを行ったと聞いた。
詳細は今週の産経新聞のコラムに書いたのでここでは立ち入らないが、この要求には流石に驚いた。一部には総理会見を「質問が出尽くすまで、無制限に」続けるべしといった極論すらあったようだ。一体何を甘えたことを言っているのか。こんな要求を受ける政府など、少なくとも主要民主主義国家ではないだろう。
日本では選挙で選ばれた首脳級の政治指導者(官房長官)が一日に二回も記者会見をやっている。外国なら報道官がやる仕事だ。更に日本では、首相会見も一時間近くやり、その上、ぶら下がり取材にも応じている。それに対し、諸外国では首脳レベルの記者会見などせいぜい30分らしい。
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