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デンマークのスタートアップイベント「TechBBQ」でみたNordic Way

Japan In-depth / 2021年10月6日 14時37分

 


「TechBBQ」の会場では、上記のような隅々まで整備されたスタートアップを支援する組織や制度の紹介が行われ、支援ファンド毎に区画分けされたブースが設置されており、スタートアップが人材的にも物理的にも手厚い支援を受けている姿を確認できた。



画像)既存スタートアップによるコンペティション前のアイスブレーク


出典)筆者提供


 


 


大学と企業の距離

Nordic Wayのスタートアップエコシステムには、政府、企業、スタートアップだけではなく、大学も含まれる。具体的な統計や数値を見つけることはできなかったが、企業と大学の繋がりは密接であり、「TechBBQ」においても、大学の研究室発もしくは大学とのコラボレーションによるスタートアップに出会うことが少なくなかった。


 


デンマークでは、8つの国立大学全てが、若いビジネスを急速に成長させるためのスタートアップ・ハブやインキュベーションセンターを持っている。例えば、デンマーク工科大学(Technical University of Denmark:DTU)のSkylab[7]では、スタートアップはDTUの学生か職員がチームに一人いることを条件に、無料でプロフェッショナルのコーチングを受けることができる[8]。コペンハーゲン大学では、分野別のスタートアップハブがあり、その1つであるサイエンスインキュベーターでは、スタートアップに対し、オフィススペースを提供する他、条件により3-6ヶ月のメンターサービス等を行っている[9]。


 


また、各大学や複数の専門学校において、企業や地域住民とも共にプロジェクトを行うファブラボが発達している。特に、ロスキレ大学(Roskilde University:RUC)では、授業の一環として地域住民と共に、3DプリンタやCNCスライス盤を利用した工学的なものから地産地消のキムチ作りを行う等、幅広いプロジェクトを実施している[10]。これは、RUCがプロジェクトベースの教育方法を実践しているからとも言えるが、一般にデンマークの学生にとって、義務教育段階から大学に至るまで、プロジェクトベースでの学習活動が身近なものになっている。このプロジェクト活動では、既存の企業が物理的また金銭的に支援していることが多い。学生にとって企業との距離が近く、学びながら働く感覚を身に着けることができると共に、プロジェクトのメンバーとして責任ある立場で自律的に動くことで、企業活動そして起業に興味を持てる環境を構築している。つまり、プロジェクト単位で実験的な取組みに挑戦し、継続する価値があると判断されると、事業化するための支援をすぐに受けられる環境が学生のうちから至る所にあるのだ。


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