中国軍艦に勝てなくなった台湾海軍
Japan In-depth / 2021年10月10日 7時24分
文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・ 台湾海軍は中国海軍に対する勝ち目はすでになくなっている。
・ 主力の成功級フリゲートでは中国軍艦に勝てない。
・ 蔡政権下では新型武器への更新は難しい。
台湾と中国の軍艦が戦えばどうなるのだろうか。台湾海軍の勝ち目はすでになくなっているのではないか。
台湾は米国製兵器を用いて中国と対峙している。数で勝る解放軍に兵器の高性能で対抗しようとしている。だが、海軍分野では米国製兵器の性能優位は失われつつある。中国軍事力とくに海軍力が成長した結果だ。
もし両者が戦えばどうなるか。米国製兵器を搭載した台湾軍艦が現用の中国軍艦と戦えばどうなるだろうか。
台湾の敗北に終わる。台湾軍艦は同等の中国軍艦に対して不利にある。
■ 成功級vs054A型
台湾の成功級フリゲートでは中国054A型フリゲートには勝てない。結論から示せばそうなる。
前者は米ペリー級の台湾建造型だ。別に購入した中古艦2隻を含めて計10隻と台湾艦隊の主力となっている。後者は同規模の中国軍艦である。こちらも2008年から30隻が就役しており中国艦隊の数的主力である。
▲写真 中国海軍の多目的フリゲート艦Hengshui。2016年7月28日の環太平洋合同演習にて。054A型は成功級と同規模のフリゲートである。だが計画に30年の差があり搭載武器も2世代は新しい。 出典:Photo by Petty Officer 1st Class Ace Rheaume
両者が戦えば成功級は敗北する。一対一の戦いでもそうなる。水平線距離以遠での戦い、水平線距離以内での戦い、砲戦距離での戦いのいずれでも不利だからだ。
■ 超水平線距離での戦い
成功級不利の一つ目は水平線距離以遠での劣勢である。互いに視認できない距離、40km以上の戦いでは勝ち目は薄い。
これは攻撃や迎撃に用いるミサイルの性能で劣るためだ。
結果、戦闘は一方的となる。先攻は054A型となる。その攻撃を成功級は凌ぎきれない。仮に成功級が生き残り反撃しても効果は見込めない。054A型は完全迎撃するからだ。
仮に距離250kmで相対したとしよう。軍艦に搭載したヘリコプターで互いを発見した。そのうえで接近して互いの軍艦を沈めようとしている状態である。この場合、最初に攻撃するのは中国側である。054A型が8発搭載する対艦ミサイルYJ-83の射程は200km超とされる。対して成功級が4発づつ搭載する雄風2型・3型は150~130km級だ。
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