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バイデン政権が供給網混乱を解決できないわけ

Japan In-depth / 2021年10月20日 19時0分

では、それは物価上昇と景気後退が同時にやってくる「スタグフレーション」につながるのだろうか。この点に関しては、筆者はそうならないと見ている。なぜかと言うと、バラマキや財政出動で過度に刺激された需要が徐々に低下を始め、インフレが落ち着くと考えているからだ。





具体的には、バイデン政権の財政出動が、身内の民主党内からの反対や、共和党の抵抗で規模縮小の方向に向かう。また、経済減速を感じ取った人々が、消費を手控えるようになると思われる。事実、ミシガン州でのアンケート調査によると、今は自動車や住宅を買うのに良いタイミングではないと考えている人が増加していることが判明している。これは、需要側におけるネガティブなしるしだ。





この傾向が今後全国に拡大すれば、モノやサービスに対する需要の減少で物流の混雑が緩和され、エネルギーを含むインフレ圧力も低下する。ガソリンなどの値上がりの一因となった、大型ハリケーンによる石油関連施設の被害も復旧し、正常化が進むだろう。





春先には、FRBの言うように「過剰インフレは一過性」となり、米経済は緩やかな年率2~3%台の成長持続へと戻ると予測する。もちろん、人口の増加に追い付かない住宅供給や、トラック運転手の慢性的な不足などは一朝一夕には解消されないため、それなりの物価上昇は続く。だが、米経済全体の需要急増が和らげば、品不足や人手不足も落ち着いてゆくだろう。





では、インフレ圧力が低下し、経済の成長が減速してゆけば、FRBの利上げにどのような影響を与えるだろうか。まず、現在進行形で高まるインフレに対し、FRBが緩和的な金融政策を巻き戻すテーパリングを用いて、11月ころから引き締めに転じるのは間違いない。だが、需要が落ち着き、物価上昇のペースが緩やかになると、米経済そのものの成長が「出力低下」に見舞われ始める。





そうなれば、金融引き締め策を続けることが、経済を窒息させることにつながりかねない。そのため当面は、引き締めの次のステップである利上げどころではなくなり、テーパリングの規模縮小や一時中断を決断せざるを得なくなるというのが、筆者の見立てだ。だから、それに合わせて利上げも遠のいていくのではないだろうか。現在、米国との金利差により生じている円安が、ある程度巻き戻されるかも知れない。





翻って、せっかくの経済成長のチャンスを、無策と規制から生じさせた供給不足と労働力不足のために、十分に活かせなかったバイデン政権に対しては、2022年11月の中間選挙において、有権者の厳しい評価が下ると筆者は考えている。それが、2024年の大統領選におけるトランプ前大統領への復活待望論につながりそうな気配もある。全米規模の物流混乱は、選挙をも動かし得る政治・経済問題に発展してしまったのだ。バイデン大統領の有効な反撃はあるのか、注目される。





トップ画像:ワシントンDCのイベントで話すバイデン氏(10月18日) 出典:Photo by Kevin Dietsch/Getty Images




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