「血筋の価値」と近親結婚(下) 王家の結婚について その3
Japan In-depth / 2021年10月21日 11時0分
まず、神聖ローマ帝国の君主すなわちカトリックの守護者という地位に就いた以上、プロテスタントの王侯貴族との婚姻はあり得ない話になった。英国王室がカトリックの王位継承権者を認めず、もっぱらプロテスタント貴族の子女を妃に迎えていたのと、まさしく好対照だったのである。
なおかつヨーロッパ随一の名門と呼ばれるまでになってみると、家格の低い相手との婚姻は難しくなった。自分たちの過去は棚に上げて、家格や財産に惹かれて縁談を持ち掛けてくる手合いが現れるのを警戒するようになったというわけだ。この文脈で考える限り、領土が細分化されるのを嫌ったという見方も、あながち的外れでもないようではあるが。
かくしてオーストリアとスペインの両ハプスブルク家の間で、叔父と姪、あるいはいとこ同士の結婚が繰り返されるようになる。
問題はこの先で、17世紀以降のハプスブルク家には、顎のかみ合わせが悪くて食事がちゃんとできないといった障害を抱えたり、虚弱体質で早世する子供が続出したのである。
これは近親結婚の弊害に違いない、と考えた人が多かったわけだが、これまた最近の研究では、どうも鵜呑みにはできない話だとされているようだ。
まず、いとこ同士の結婚は現在でも多くの国で認められていることで、とりたてて問題があるとは考えられていない。その以前に、近親結婚で「血が濃くなりすぎる」と昔からよく言われるのだが、それは医学的にどういう事なのか、現在に至るも説明がつかない事柄なのである。
それならば、どうして近親結婚がタブー視されてきたのか、との疑念を抱かれた向きもあると思うが、これも前回少し触れたように、重層的な問題が存在するのだ。
そもそも論から述べると、近親結婚と遺伝子の問題にどういう関わりがあるのかは、データが少なすぎて現時点では解明に至っていない。現時点ではというのは、遺伝子工学などがさらに発達すればあるいは……との期待はあるのだと聞く。
ただ、経験的にそうした問題が存在することは知られていたので、だからこそ『旧約聖書』の時代からタブー視されてきたのだ、という見方には説得力がある。
そのまた一方では(これは差別的に述べるわけではないことを明記しておくが)、どこの国でも閉鎖的な山村などでは、非公式のそれも含めた近親結婚は割と普通のことであったと考える人もいる。
別の立場もあって、これは医学や遺伝学でなく、社会学や心理学の問題ではないか、と考える人も、最近は増えてきているようだ。
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