1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「血筋の価値」と近親結婚(下) 王家の結婚について その3

Japan In-depth / 2021年10月21日 11時0分

人間は社会的動物である、と言われるが、優秀な子孫を残したいという動物の本能はしっかりと受け継がれている。つまりは血族以外の相手と結婚することで生活圏も広がる上、多様の多様性も期待できると考えられるようになり、その裏返しとして血族結婚をタブー視するようになったに過ぎない、というのが社会学的な問題だとする立場だと言える。





これに対して心理学的な問題だとするのは、20世紀初頭に英国の心理学者たちが盛んに主張した説に基づいたもので、煎じ詰めて言うと、幼い時から一緒に育ったきょうだいなどは、性欲の対象になりにくい、と考えるものだ。一時期はすっかりすたれた学説だが、最近あらためて注目されつつあるようだ。





その話はさておき、やはり王侯貴族ともなると、なにぶん財力や権力が備わっているだけに、結婚相手を選ぶにも一苦労、ということであるらしい。





……と言いたいところだが、本当は王侯貴族に限られた問題ではあるまい。





私自身は見合いの経験がないのだが(一度くらい経験しておけばよかった、と思うことはある笑)、見合いに先立って、写真と共に釣書というものを交換することを、割と最近知った。





読み方は「つりがき」でも「つりしょ」でもよいそうだが、要はプロフィールだ。結婚相手を釣るためのもの、というのではなく、相手と「釣り合いが取れている」ことをアピールするのが本旨なのだとか。





これは結構大事なところで、わが国では長きにわたって、結婚とはすなわち「家と家との結びつき」だとされていて、だからこそ家格が釣り合うかどうかということが大きな問題だったのである。





ヨーロッパでは、まあ国によって事情は多少異なるのだが、身分とか階級といった概念と結婚とを切り離す考え方は、それほど広範に浸透していたとは言い難い。だからこそ『シンデレラ』のようなストーリーも生まれ、好まれてきたのだ。





よいか悪いかは別にして、今次我が国のプリンセスの結婚が賛否両論の対象となったのも、そこに(たとえ象徴的な事柄であれ)血筋や身分といった意識が関係していない、と考えるのは難しい。





その考察は最終回にするとして、次回はイスラム圏における結婚問題を取り上げる。 





トップ写真:ハプスブルク家最後の皇帝、オーストリアのカール1世(1887年から1922年)彼は1916年から1918年までハンガリー国王として君臨した。1918年に退位した後、妻のジータ(1892年-1989年)と家族と共にスイスに亡命した。 撮影:1921年2月8日 提供:Photo by Topical Press Agency/Hulton Archive/Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください