【ファクトチェック】自民党岸田文雄総裁「現在法人税最高税率は23.2%、財源としては10.8兆円ほどあります」は“ほぼ正確”
Japan In-depth / 2021年10月24日 0時0分
※令和元年度以前は決算額、令和2年度は補正後予算額、令和3年度は予算額である。
▲図 一般会計税収の推移 出典:財務省
最後に、令和2年度(2020年度)の法人税の決算額(実績)について見てみる。財務省の「令 和 3 年 度 6 月 末 租 税 及 び 印 紙 収 入 、 収 入 額 調」によると、前年度、つまり、令和2年度(2020年度)の法人税の決算額は、11,234,626百万円(11兆2346億円)で当初の予想(令和2年補正後予算額の8.0兆円)よりも3.2兆円上振れしている(財務省令和2年度決算概要)。また、前年度(令和元年度)の決算額(10.8兆円)を0.4兆円上回る結果となっている。
以上のことから、法人税の「当初予算」「補正後予算」「決算額」の3つから検証したが、岸田氏の「財源としては、10.8兆円ほどあります」の部分は、令和2年度以降の法人税による税収額を反映しているとはいえず、誤解を招く発言となっているとなっている。
■判定:「ほぼ正確」
判定対象
・「今の法人税、最高税率23.2%、財源としては、10.8兆円ほどあります」
岸田氏は、2021年の10月17日の時点で、「今の法人税」と発言しているが、岸田氏の発言時には、財務省からすでに令和2年度の決算概要が出されていたため、法人税税収として引用するのであれば、令和2年度(2020年度)決算の約11.2兆円を使うのが適切である。令和元年度(2019年度)決算額である10.8兆円は最新のデータで無いため、ファクトチェックの結果、”ほぼ正確”とした。
令和元年(2019年)の法人税の実績データでは、令和2年(2020年)以降の新型コロナウイルスによる税制への影響を正確に分析することができない。真に国民の声に寄り添うためには、常に最新のデータを引用する慎重さが政治家に求められよう。
【Japan In-depthファクトチェックポリシー】
Japan In-depthは、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、ファクトチェックを実施しています。FIJが定めたガイドラインに準拠して、言説の真実性・正確性の評価・判定を行います。政治家、有識者の発言、メディアの報道、ネット上拡散されている情報など、社会的に影響の大きな言説を対象とします。判定基準は以下の通りです。
トップ写真:岸田文雄自民党総裁(2021年10月14日) 出典:Photo by Eugene Hoshiko - Pool/Getty Images
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