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【ファクトチェック】麻生太郎氏「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」発言は“不正確”

Japan In-depth / 2021年10月30日 23時29分

農業協同組合新聞は、今後、温暖化によって米の収量は増加する地域と減少する地域の二極化すると述べている。北海道の一部が潜在的収量増大地域となっているのがわかる。









▲図 2060年代の米の潜在的収量の変化 出典:農業協同組合新聞





北海道の米の収穫量は、現在、米どころの新潟県に次いで第2位をキープしている。(出典:農林水産省「令和2年産水陸稲の収穫量」より)





これらの結果から、将来的に温暖化が進行しても、北海道の米は、質・量共に向上するのではないかと予測されている。





麻生氏の「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」との発言は、その部分だけ取り出せば、「ほぼ正確」である。





では、麻生発言の何が問題だったのか。





・農家や農協のおかげではない





麻生氏は、発言の中で、北海道の米について、「温暖化のおかげ」であり「農家や農協のおかげではない」と発言した。





しかし、北海道米が、先に述べたような高評価を受けるに至ったのは、温暖化の影響だけではなく、農家の方々の努力の賜物である。





「不毛の大地」から、品種改良や栽培に工夫を重ね、北海道米を全国的に広めた。温暖化の影響だけではたどり着けなかった。北海道農民の米作りの努力の歴史を見てみよう。





北海道で初めて米が生産されたのは1692年との記録が残っている。しかし、当時の寒さの厳しい環境ではうまく作れなかった。





「北海道稲作の父」と呼ばれる中山久蔵氏が、米作りに挑戦し、1873年に「赤毛」という品種で米作りに成功した。今から約150年前のことだ。





1980年には、北海道庁がおいしい北海道米の品種育成のためのプロジェクト「良質米の早期開発」を開始。1988年に北海道米のイメージを一新する新品種「きらら397」が誕生する。





2001年、「粘り」に着目して開発された「ななつぼし」が誕生。冷めてもおいしく、粘りが長持ちする品種は、北海道米の新境地を切り開いた。





2003年には道南の気候に適した「ふっくりんこ」、2008年に北海道米の自信作「ゆめぴりか」が誕生した。





2011年には日本穀物検定協会の食味ランキングで、平成22年産の「ななつぼし」と「ゆめぴりか」が、北海道米初の最高位「特A」を獲得するに至った。2017年には、平成28年産の「ゆめぴりか」「ななつぼし」「ふっくりんこ」が、食味ランキングで特Aを連続獲得し、北海道米の品質の高さを証明した。





北海道では、寒冷地・北海道ならではの育種や良食味品種の開発が長年行われてきた。また、ホクレン農業総合研究所が新品種開発を外部の研究機関と共同で取り組むなど、今でもたゆまぬ努力が続けられている。





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