【ファクトチェック】麻生太郎氏「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」発言は“不正確”
Japan In-depth / 2021年10月30日 23時29分
こうした北海道の農民や関係諸機関の不断の努力があってこそ、美味しい北海道米が生まれたのだ。(参考:北海道の米づくり)
こうした経緯を否定するような麻生氏のこの発言は「不正確」と判定する。
・温暖化を肯定?
麻生氏の一連の発言は、温暖化を肯定していると捉えられても仕方がない内容である。
一方で、発言の3日前の10月22日には、政府より5年ぶりに地球温暖化対策計画が閣議決定されたばかりである。計画では、2030年度までに温室効果ガスを46%削減することを目標に掲げている。
麻生氏の発言は、政府の温暖化対策計画と矛盾するとの指摘がある。
北海道農民連盟の大久保明義氏は、以下のように発言している。
「国連でも採択されたSDGs(持続可能な開 発目標)の実現に向け、政府が2050年までに二酸化炭素 (CO2)の排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」を目標 に掲げているなかで、地球温暖化を肯定するような言葉を発することは、自民党の重要ポストにある副総裁の発言としては有るまじき由々しき事態と言わざるを得ない。また、地球温暖化防止対策に取組んでいる企業や国民にとっても耳を疑うような発言として捉えられる」
国をあげて地球温暖化対策に取り組む中、麻生氏の発言の趣旨は政治家としては適切ではなかった。
・判定
温暖化によって、北海道の米の質が上がったり、収量が増加したりするという研究結果はあるため、「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」という部分は「ほぼ正確」である。
しかし、温暖化の影響だけで、北海道米が発展してきたわけではない。農家や農協のたゆまぬ努力があったことは否定すべくもない。また、温暖化を肯定するととらえかねない発言は、政府や社会全体の方針とも矛盾が生じる。
よって、麻生太郎氏の発言は全体として「不正確」と判定する。
【Japan In-depthファクトチェックポリシー】
Japan In-depthは、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、ファクトチェックを実施しています。FIJが定めたガイドラインに準拠して、言説の真実性・正確性の評価・判定を行います。政治家、有識者の発言、メディアの報道、ネット上拡散されている情報など、社会的に影響の大きな言説を対象とします。判定基準は以下の通りです。
トップ写真:麻生太郎自民党副総裁 出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images
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