米空母打撃群と海自護衛艦、南シナ海へ
Japan In-depth / 2021年10月31日 15時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・米空母「カールビンソン」が海自護衛艦と南シナ海で共同演習実施。
・一方的に海洋権益を主張する中国への米政府による牽制の意味がこめられている。
・米英豪印などによる南シナ海への関与が同海域での軍事的緊張を高め、情勢を不安定化するとの声も。
米海軍は10月25日の声明で空母「カールビンソン」と空母打撃群が海上自衛隊の護衛艦とともに南シナ海で実施の共同演習について明らかにした。
この時期は東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に続いてASEAN首脳会議プラス日米中などの会議さらに日米中韓豪なども加わった東アジアサミットなどが26日から28日かけてオンラインで開催され、ASEAN加盟国の首脳(ミャンマーを除く)にバイデン米大統領や李克強首相、日本の岸田文雄首相も参加した。
▲写真 岸田総理は、総理大臣官邸で、オンラインで開催された日ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席した。(2021年10月27日) 出典:首相官邸
今回の日米艦艇による演習は米中両国首脳も参加するこうした一連のASEAN会議に合わせたかのようなタイミングで南シナ海で実施されたもので、一方的に海洋権益を主張する中国への米政府による牽制の意味がこめられているとの見方が有力だ。
空母「カールビンソン」とその空母打撃群には海自のいずも型ヘリコプター搭載護衛艦「かが」が加わり、南シナ海で海上及び航空共同戦術訓練や海上給油、海上警備行動などの訓練を実施したという。
▲写真 護衛艦かが(基準排水量:19,500t 長さ:248m 幅:38m 馬力:112,000Ps / 主要兵装:高性能20mm機関砲×2 対艦ミサイル防御装置x2 魚雷防御装置×1 哨戒ヘリコプター×7) 出典:海上自衛隊第4護衛隊群
「カールビンソン」は9月上旬にも南シナ海を航行して「航行の自由作戦」に従事しており、再び同海域に戻ったことになる。
米海軍は声明の中で「南シナ海における協力的な海上作戦は、インド太平洋における米海軍の日常的なプレゼンスである」として具体的な名指しを避けながらも中国への対抗を改めて強調した。
■ASEAN会議での懸念表明相次ぐ
ASEAN加盟国にはベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレーシアと南シナ海で中国との間で島嶼などの領有権争いを抱える国、インドネシアのように自国の排他的経済水域(EEZ)に中国側が一方的に漁船団を送り込んで違法操業を続ける状態が続く国など、いずれも中国との間で海洋権益で問題を抱えている。
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