主要メディアはなぜコロナウイルスの大ニュースを報じないのか
Japan In-depth / 2021年10月31日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・主要メディアは新型コロナウイルスの感染の驚異的な減少を報じていない。
・ワクチン接種の急速な拡大や、政府の水際対策も効果を発揮したといえるだろう。
・ 主要メディアは、目前の現実を報じ、論じてほしい。それこそジャーナリズムの本来の責務だろう。
日本の大手の新聞やテレビはなぜ大ニュースを大ニュースとして報じないのか。いま日本の国内で起きている驚嘆すべき出来事をなぜ正面からきちんと報道しないのか。こんな疑問を感じさせられる毎日である。
その大ニュースとは新型コロナウイルスの感染の驚異的な減少である。新聞やテレビはそのウイルスの感染者が多い時期には大ニュース中の大ニュースとして報道していた。いまにも日本という国が崩れ落ちるかのような危機感をあおるセンセーショナルな報道だった。
であればその危機が去ったことは同様に大ニュースであるはずだ。だが主要メディアはその重大な出来事をあたかも起きていないかのように無視、あるいは軽視しているとしか思えないのだ。
日本での新型コロナウイルスの感染者はつい2ヵ月前の8月下旬の時点では全国で1日合計2万5000人以上だった。だがその感染者は10月下旬のここ数日、1日200人台となった。
2万5000が200となる。この激減はどうみても、劇的な大激減である。人間の感染に限らず、人間の生死でも、果物や工業製品の生産でも、消費でも、とにかくびっくり仰天するショッキングな数字の変化である。
東京都を例にとろう。
新型コロナウイルスの1日の感染者は8月中旬には約4000人だった。(編集部注:8月13日感染者数は5908人)それが10月中旬から下旬にかけては20人ほどというところまで、激減した。4000と20では200分の1である。単に数字の変遷だけでも、ものすごい変化なのだ。
だが主要メディアはどこもこの感染者の激減自体を大きなニュースとしては報じていない。感染者の減少をどこかでは報じるが、その数字をさらりと流すだけなのだ。ましていまなぜ感染者がここまで劇的に減ったかという原因の分析など、まったくと言っていいほどみかけない。
もちろん感染者はまた増えるかもしれない。専門家の多くがリバウンドの可能性を指摘する。確かにその危険に備える必要はあろう。いまの感染者の激減は一時的な現象なのかもしれない。
しかし激減はすでに2週間以上も続いている。それにたとえ一時的だとしても、2ヵ月前とは天地の相違があるほどの状態がいま日本国民すべての目の前に展開しているのだ。この大ニュースをマスコミはなぜ正面から取り上げないのか。
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