失敗に終わった野党共闘 敵失で与党笑う
Japan In-depth / 2021年11月1日 19時32分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・衆院選、自民党単独で安定多数を確保、野党は共闘の効果はなかった。
・今回の与党勝利は野党の敵失の結果。自民批判票は立憲・共産に行かず維新へ。
・与党「信任」は期間限定。岸田首相は、コロナ・経済対策、外交・安保での実績を早く示せ。
総選挙から一夜明け、結果を見れば与党の勝利は歴然としている。自民党は、30から50議席は減らすのでは、との衝撃的な事前の予測もあったのに、蓋をあけてみれば選挙前勢力276議席が261議席、マイナス15議席に踏み止まったのは上出来と言えよう。公明党も踏ん張って、選挙前29議席が32議席と+3議席となったので、与党勢力は、305議席から293議席、マイナスは13議席で済んだ。
それにしても野党はだらしなかった。特に立憲民主党は政権交代をうたいながら、選挙前109議席が増えるどころか96議席のマイナス13議席に沈んだ。共闘した共産党も、12議席から10議席に減っている。
立憲民主党の枝野幸男代表や、共産党の志位和夫委員長は、一定の効果はあったとの考えのようだが、どうみても「野党共闘」は失敗だったといえよう。
▲写真 立憲民主党枝野幸男代表(2021年10月28日) 出典:Photo by Carl Court/Getty Images
それにしても自民党はついている。当初期待したオリンピック効果も不発に終わり、新型コロナの感染者が爆発していた8月頃に総選挙があったなら、ここまで勝つことはできなかったろう。
安倍前首相の「もりかけ・桜問題」も、相次ぐ閣僚の不祥事も、高級官僚の過剰接待問題も、菅前首相が頑張ったコロナワクチン普及による感染者激減と、自民党総選挙による電波ジャックのおかげで、支持を回復した。岸田新改革は全く魅力の無い陣容だが、それでもここまで踏みとどまったのは、運が良かったのと、野党の敵失のおかげだ。
国民民主党の玉木雄一郎代表が選挙前に、各選挙区で野党の予備選をやって本当に与党に勝てる候補を選ぶくらいやればいいのに、と筆者に話していたが、本当にそれくらいやらないと、野党は存在感を示すことは出来なかった。結局、自民党総裁選の影に隠れて埋没してしまった。その国民民主は議席を8から11に伸ばしている。野党共闘に加わらなかったおかげだろう。
そしてタナボタで議席を爆増させたのは、日本維新の会だ。こちらも「もってる」と言って良いだろう。なにせ大阪以外の有権者は維新の会を地域政党だと思っているくらいだ。それが、選挙前11議席がまさかの41議席である。自公にも立共にも入れたくない有権者の受け皿になったのは明らかだ。一気に第3党に躍り出たのは、吉村効果もあったろう。吉村洋文大阪府知事が一気に維新の会の知名度を全国区に押し上げたのはやはり新型コロナ対策だ。いずれにしても、今後、国会でどう存在感を示せるかが問われることになる。
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