衆院選、国民は変化を選択しなかった
Japan In-depth / 2021年11月3日 18時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2020#44」
2021年11月1-7日
【まとめ】
・結果的に国民が「変化」を選択しなかったことだけは間違いなかろう。
・メディアの予測が外れた最大の理由はコロナ禍でイライラしている有権者の心の襞を読み違えたこと。
・今回の選挙で日本の外交政策が変わる可能性は低く、むしろ気になるのは来年の参議院選挙。
あのメディアの熱狂は一体何だったのか。「自民党に逆風」とか、「自民単独過半数割れか」とか、様々な予測が飛び交ったが、結局は自民党と立憲民主党がそれぞれ15議席程度減らしただけ。維新が新たにその30議席程度を獲得したことが、全てを物語っているのだろう。選挙結果の詳細な分析はこれからだが、結果的に国民が「変化」を選択しなかったことだけは間違いなかろう。
実はこの原稿を書いている最中、米国の某団体の関係者とウェビナーで90分間、今回の選挙結果について英語で解説する機会があった。東海岸のニューヨークから西海岸のロスアンゼルスまで全米を結んだ非公開のウェビナーだったが、各地から鋭い質問が相次いだことには正直驚いている。
皆日本のことを結構関心を持って見ているのだなと思った。時代は変わったものである。
その際、説明に使ったスライドと解説の内容をご紹介しよう。
Japan’s 2021 Election : A Surprise?
• Did Japan’s media mislead the public?
• Did COVID-19 matter?
• Did the LDP win?
• A Generational change?
• Some important personnel change?
• Any change in foreign policy?
要するに、日本のメディアの予測が外れた最大の理由はコロナ禍でイライラしている有権者の心の襞を読み違えた、というか、心の変化に付いていけなかった、ということではないか。最初の悲観的予測は10月初旬、この頃はまだコロナ感染の恐れは高く、当然不満は自民党に向かったのだろう。報道各社の予測が自民党に悲観的となったのも当然だと思う。
ところが、投票日の一週間前あたりから、新規感染者数が激減し始め、状況が変わり始めた。一部には情報操作ではないかと勘繰る向きもあったかもしれないが、どうやらこの数字は事実らしい。そうであれば有権者の心理が、「まあ、自民党でも良いか」「お灸をすえるのは次回にしようか」となってもおかしくない。
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