マイナカードが普及しないわけ
Japan In-depth / 2021年11月8日 9時26分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・政府・与党はマイナカードの新規取得者や保有者に対し、1人3万円分のポイントを付与する方向で調整に入った。
・「コンビニ交付」を試してみたが、ちっとも便利ではなかった。
・まずは、マイナンバーカードサービスの使い勝手を向上させよ。
政府・与党はよほど「マイナンバーカード(以下、マイナカード)」の普及に力を入れたいらしい。マイナカードの新規取得者や保有者に対し、1人3万円分のポイントを付与する方向で調整に入ったという。その予算総額3兆円(1億人分)!今月中旬にもまとめる大型経済対策に盛り込む予定だ。果たして効果があるのか?
マイナカード普及促進といえば、もう忘れている人も多いだろうが、「マイナポイント事業」というものがあった。2020年9月に始まったもので、「マイナカード」を使って予約・申込を行い、選んだキャッシュレス決済サービスでチャージや買い物をすると、上限5000円として利用金額の25%分のポイントがもらえるサービスだ。キャッシュレス決済とは○○Payや交通系電子マネー、クレジットカードのことだ。
この事業は、政府が2019年10月の消費税増税の影響を抑える為、2020年の6月末まで9か月間、期間限定で行った「キャッシュレス・ポイント還元事業」の後に始まった。
2019年に予定されていたオリパラ後の消費下支えとマイナカード普及促進の二兎を追う政策だった。しかし、以前の記事(「マイナポイント9月1日から」)で指摘したように、上限5000円のポイントをもらうためにわざわざ「マイナンバーカード」を作った人は政府の予想より遙かに少なかった。
ちなみに現在のマイナカード交付枚数は、49,552,693枚、普及率は39.1%にすぎない。(2021年11月1日時点:総務省)2020年9月1日時点で交付枚数22,254,189枚、普及率17.5%だったから、確かに1年で2倍強に増えはしたが、それでもいまだに国民の10人中4人しか保有していないのだ。なぜか?
答えは簡単だ。メリットが感じられないからだ。それに加え、多くの人がお上に個人情報を把握されたくない、と思っている。いわゆる「国民総背番号制」に対するアレルギーがまだ国民の中に残っているのだろう。
しかし、「特別定額給付金」や、「新型コロナワクチン」の時に混乱したのは記憶に新しい。それもこれもマイナンバー制度が国民の利便性向上に十分活かされていないからだ。カードの普及より先なのはそちらの方だろう。
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