1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

仏、国産家電製品好調のわけ

Japan In-depth / 2021年11月9日 13時30分

仏、国産家電製品好調のわけ


Ulala(著述家)


「フランスUlalaの視点」


【まとめ】


・フランス製の家電の売り上げが1年間で17%増加した。


・米中貿易戦争やコロナ禍によるコンテナ不足・滞留の影響で、海上運賃が1年間で7倍となった。


・自国民を助けるためにも自国製品を買おうという動きが活発化している。


 


 


フランス製の家電市場の売上高が、1年間で17%増加し、記録的な成長が見込まれている。


 


フランスの家電製造企業ブラントグループのオルレアン工場では、コンロとオーブンを組み立てているが、今年は、55万個の部品が組立ラインから出荷された。これは2020年の生産量の2倍の数であり、この工場では前例のない記録となったという。また現在においても、毎月、組み立て量は増加傾向にあり、今後50人の増員が必要になるというのだ。


 


グループのCEOシモン・バルボー氏はこの増加の要因をこう説明している。「フランスでも確かに原材料のコストの上昇の影響を受けていますが、海上輸送の価格上昇の影響よりは、はるかに少なく、競争上の優位性となっています。」


 


フランスの家電市場では、約40%がアジアから輸入されている。しかしながら、現在、在庫が不足したり、海上運賃の高騰の方が影響でアジアからの商品は通常よりも10~30ユーロ割高になっており、この結果、フランス製品との価格差が小さくなった。今までは値段が安いためアジア製が買われることが多かったが、価格が機種によっては50ユーロ程度しか差がなくなるものもあり、その場合、消費者はより長く使えて性能がいいという理由などから、フランス製を選ぶことが多くなっているのだ。


 


■ 世界的なコンテナ不足と海上運賃の高騰


 


コンテナ不足などによる、海上運賃の高騰は世界的なものだ。


 


この問題の最初の始まりは、2018年の春〜夏にかけて勃発した「米中貿易戦争」であった。世界のコンテナの9割以上(96〜98%)が中国で生産されているが、「米中貿易戦争」の影響で、新造コンテナの生産量が、2018年と2019年の2年間で急激に減少し、輸送量が低下したのだ。その上2020年からコロナ禍。その結果、さらに先行きが不透明になり、中国国内の工場の生産能力も低下。


 


また、コロナ禍の影響はそれだけではない。世界各国での都市封鎖が実施され、感染拡大による港湾作業員の不足のため、コンテナ貨物が港湾に滞留することになった。通常は14日間以内に貨物を取り出し、空のコンテナを返却する必要があるが、海運会社もコンテナ船を減便させたため、空にしたあと1カ月経っても積み上げられたままになっているものもあり、輸送地でコンテナが不足する事態になったという。そんな中、欧米では外出禁止の影響で巣ごもり消費が増加し、欧米向けの輸出が増加。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください