風を「読み違えた」マスメディア(上)似て非なる日英「二大」政党制 その1
Japan In-depth / 2021年11月16日 11時47分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
「林信吾の西方見聞録」
TBS系列で毎週日曜朝に放送される情報番組「サンデーモーニング」に「風を読む」というコーナーがある。
この番組については、色々なことを言う人が多いのだが、私は面白く見続けてきた。特に「風を読む」はよくまとまった回が多い。つまりは今回のタイトルも、決して悪意をはらんだパロディではないことを最初に明記しておく。
さて、本題。
自民党というのは、つくづく強運に恵まれていると思う。
1995年の阪神淡路大震災の時は、政権の一翼を担ってはいたが、首班は社会党(当時)の村山富市であり、新党さきがけも加えた「自社さ連立」であった。
よく知られるように、この震災は未明の出来事で、もう2時間ほど遅く、通勤ラッシュ時に起きていたら、高速道路や駅の倒壊による犠牲者が一桁多かったであろうことは疑う余地がない。
あまりこういうことを書くと、ご遺族に不快な思いをさせかねないので気が進まないのだが、ひとつの歴史的事実として、不幸中の幸いという要素があったことは記憶にとどめられるべきであろう。
加えて、いや、こちらが主たる論点なのだが、事後処理や復興について、自民党が批判の矢面に立たされることはなかった。
2011年の東日本大震災の時などは、野党の立場であった。
この時の民主党政権の対応について詳細に検証する紙数はないが、
「自民党政権だったら、もっとうまく対応できたはず」
などと考え得る要素はほとんどない、ということは指摘しておきたい。しかし、有権者はそのような判断を下したりはしなかった。
ここでも念のため述べておくが、時の民主党政権の失政を免罪すべき、などと言いたいのではない。多くの有権者が今もって
「あの時、民主党を勝たせたのは失敗だった」
との考えに傾くのも、無理からぬことであると思う。ただ、安倍元首相が「悪夢の政権」などと連呼していたことに対しては、彼を熱烈に支持し続ける人たちも含めて、もう少し冷静になられてはいかがか、とは言っておきたい。
写真) 東日本大震災の対応に当たった当時の菅直人首相(2011年3月15日)
出典) Photo by Yamaguchi Haruyoshi/Corbis via Getty Images
そして、今次の総選挙は新型コロナ禍が世界中に暗い影を落とす中でのそれであった。
当然ながらコロナ対策が大きな争点となったわけだが、もともと「アベノマスク」やワクチン確保の遅れなど、自民党政府は失点を重ね、当然ながら総選挙では厳しい逆風にさらされることが予想された。なにしろ安倍首相は体調不良で辞任し、後任の菅首相も逆風に耐えかねて政権を投げ出してしまったほどだ。
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