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緊張高まるベラルーシ・ポーランド国境

Japan In-depth / 2021年11月25日 7時0分

緊張高まるベラルーシ・ポーランド国境




村上直久(時事総研客員研究員、長岡技術科学大学大学院非常勤講師)





「村上直久のEUフォーカス」





【まとめ】





・ポーランドにベラルーシが中東からの移民を送り込んでいるとされる問題で、EUはベラルーシとロシアを非難。





・EUは外相理事会で、ベラルーシに対する制裁措置の拡大を決定。





・ベラルーシ経由EUルート」で来る移民が減れば、ベラルーシにとって移民は国内問題になる。





 





欧州連合(EU)加盟国であるポーランドに隣国ベラルーシが中東からの移民を意図的に送り込んでいるとされる問題でEUは、ベラルーシとその背後にいるとされるロシアがEUのベラルーシに対する制裁の報復として、中東から移民を航空機で首都ミンスクに呼び寄せ、ポーランド国境まで連れて行き、不法に同国に越境させようとして混乱を引き起こそうとしていると非難している。これをベラルーシは否定。EUはまた、ロシアがベラルーシに資金と人員を提供していると主張するが、ロシアは否定し、ベラルーシと直接接触するよう促している。





EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長は11月11日、ワシントンのホワイトハウスでバイデン米大統領と会談後記者会見し、「民主的な隣国を不安定化させようとする(ルカシェンコ)独裁政権によるハイブリッド攻撃だ」との判断を共有した」と語った。









▲写真 ホワイトハウス内で会見するEU欧州委員会のフォンデアライエン委員長(2021年11月10日) 出典:Photo by Win McNamee/Getty Images





■ ハイブリッド戦争





「ハイブリッド攻撃(戦争)」とはロシアが編み出した軍事・外交戦略であり、戦場だけでなく、サイバー攻撃、SNSによるフェイクニュースの拡散、民間軍事会社の利用などを通じてターゲットを攻撃する方法。





2016年の米大統領選や2014年以来のウクライナ危機、2021年に入っての米東部の石油パイプライン攻撃などで用いられたとされる。移民の利用は北アフリカにあるスペイン領の飛び地セウタに接するモロッコが西サハラ問題での対立を背景に、アフリカの移民・難民を大量に送り込んで混乱を生じさせた例がある。





米紙ニューヨーク・タイムズは、ベラルーシ政府によるポーランド国境への移民送り込みは、ウクライナ国境近くで最近、大規模なロシア軍の集結が見られることや、ロシアからの天然ガス供給確保をめぐる懸念と相まって、ロシアが欧州の不安定化につながる危機的状況を作り出そうとしている表れだとしている。ロシア軍集結をめぐり、米欧は2014年のウクライナ南部クリミア半島侵攻のような事態再発への懸念を強めているという。





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