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「1票の格差」こそが問題(中) 似て非なる日英「二大」政党制 その4

Japan In-depth / 2021年11月25日 23時0分

読者ご賢察の通り、これでは民意を正確に反映し得ない、という論理でもって、比例代表制の導入を求める声も以前からある。





その急先鋒が、自由民主党。





日本の自由民主党も1955年に、当時の自由党と民主党が合同して(世に言う保守合同)誕生したが、英国のそれも似たような経緯で生まれている。









▲写真 英国自由民主党秋の党大会で演説を行う党首のエド・デービー(2021年9月19日、ロンドン) 出典:Photo by Chris J Ratcliffe/Getty Images





1970年代後半、当時の労働党内で左派および極左の発言力が強まる一方であったことに業を煮やした右派の議員が、1981年に社会民主党を旗揚げした。その後1987年に旧自由党系と大同団結して自由民主党となったのである。





我が国のマスメディアでは、自国の自民党とまぎらわしいせいか「連合(党)」と呼ばれることも多かったが、最近は自民党の名称が定着しつつある。





それはさておき、この(英国の)自民党は、その成立経緯からも容易に推察できるように、多くの選挙地盤が保守党とかぶっている上、その反共リベラルという政治路線は、教育程度の高い中間層に支持される傾向があるので、支持層が全国に分散している。





この結果、全国レベルの支持率では20%を超えることがよくあるのに、議席の方は20も取れない、ということになってしまう。2019年の総選挙に際しては、EU残留派の中心的枠割りを演じながら、11議席にとどまった。





こうした現実もあって、前述のように比例代表制の導入を求める声は前々からあり、2011年には「優先順位付き連記投票制」導入の是非を問う国民投票も実施された。





比例代表制そのものではないが、各選挙区において、得票数2位以下の候補者にもチャンスを与えるという意味で、我が国の「選挙区・比例連記」の制度と似た役割を果たすと思えば、そう大きな間違いにはならないだろう。





結果は、反対が70%以上。





保守党が強硬に反対した上、労働党も積極的に支持しなかったこと、その以前に伝統的なやり方を変えることを好まない英国人気質、という要素も間違いなくあったが、導入派が、「単純小選挙区制では、膨大な市に票が出て民意が正確に反映されない」





と連呼しても、





「地域特有の政治的利害や、候補者と有権者の密接な交流といった要素も加味されてこそ、真の民意と言えるのではないか」





という考え方が、英国の有権者の間に浸透しており、それを変えることができなかった、ということだろう。そう考えなければ、これほどの大差は説明がつかない。





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