「1票の格差」こそが問題(中) 似て非なる日英「二大」政党制 その4
Japan In-depth / 2021年11月25日 23時0分
以上を要するに、英国が単純小選挙区制を維持し、日本のような「比例復活」の道を閉ざしたことは、我が国の選挙制度について考える場合には、さほど参考にならないのだ。
長々と述べておいて結論はそれか、とのお叱りは甘受するが、我が国の選挙制度は、伝統に根ざしたものとは到底言いがたく、その意味では「民意」に照らしても改正のハードルはさほど高くないはずだ、ということは強調しておきたい。
ある年代以上の読者はご存じであろうが、我が国では、長きにわたって中選挙区制が採用されていた。
選挙区の人口に応じて3ないし5人の当選者を出すというもので、人口の移動などにより、1986年には公職選挙法が改正され、例外的に6人区や2人区ができた経緯もある。
現行の小選挙区・比例代表並立制は、1996年に採用されたものだ。
私に言わせれば、採用の経緯自体に、いささか問題があった。
これまた一定の年代以上の読者はご記憶のことと思われるが、中選挙区制にあっては、自民党が特にそうであったが、派閥の異なる複数の候補者が立ち、票の奪い合いの結果として金銭の授受など選挙の腐敗、時と場合では「同士討ち・共倒れ」という現象が起きた。
こうした弊害をなくそう、ということで採用されたのが現行制度であるわけだが、今となっては、有権者よりも大政党のメリットが優先されたとしか考えようがない。
では、どうすればよいか。その考察には(下)で取り組むこととさせていただきたい。
(その1、その2、その3)
トップ写真:英セノタフでの国家主催の追悼式に出席する4政党の党首(左から、英国自由民主党首エド・デービー、労働党首キア・スターマー、スコットランド国民党(SNP)党首イアン・ブラックフォード、保守党首兼英国首相ボリスジョンソン)(2021年11月14日、ロンドン) 出典:Photo by Justin Tallis - WPA Pool/Getty Images
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