コロナワクチン、追加接種早めよ
Japan In-depth / 2021年11月26日 18時0分
高齢者の免疫が低下していることは前述した通りだ。この状態で、冬の流行を迎える。参考になるのは海外の経験だ。主要先進国では、冬の感染拡大が深刻だ。本稿を執筆している11月25日現在、ドイツやイタリアでは、一日の感染者数が既に夏の流行のピークを超えている。今後、冬本番となり感染は拡大する。冬場の流行は、これまでとは桁違いになるだろう。
読売新聞は11月24日の「欧州感染拡大 規制への再転換 接種率頭打ち、独「緩和早過ぎた」」という記事を掲載したが、この解釈は不適切だ。ポイントは、ワクチンの効果の持続期間だ。接種率ではない。注目すべき存在は、イスラエルと日本だ。図2に夏以降の感染者数の推移を示す。いずれの国でも冬場に感染が拡大していないのがわかる。なぜなのか。
▲図2
イスラエルで感染が拡大しないのは、夏以降に追加接種が進んだからだ。図3は主要国の追加接種の進行状況を示す。夏場の感染拡大を受けて、イスラエルでは7月から追加接種が始まった。11月22日現在、国民の44%が追加接種を終えている。イスラエルで追加接種の効果は劇的だった。10月7日、イスラエルの研究チームは米『ニューイングランド医学誌』に、追加接種の有効性について、追加接種から12日が経過した段階で、非接種群と比べ、追加接種群の感染率は11.3分の1、重症化率は19.5分の1まで低下したと発表している。
▲図3
この結果を受けて、主要先進国は追加接種を始めた。イスラエルについで追加接種が進んでいるのは英国で、国民の23%(11月22日現在)が接種を終えている。英国での感染者の増加は、比較的緩やかだ。
実は主要国で、唯一、いまだに追加接種が始まっていないのは日本だ。日本に危機感がないのは、感染者数が低いレベルで抑え込まれているからだ。これは日本ではワクチン接種の開始が遅れたため、秋以降に現役世代が接種し、それからあまり時間が経っておらず、免疫を有している人の割合が高いからだ。つまり、日本で感染者が少ないのは、ワクチン接種の開始が遅れたのを、菅前政権が必死に追い上げたからだ。怪我の功名といっていい。日本人だけ特別と言わずとも、十分に説明がつく。
やがて、日本人の免疫も低下するだろう。工学博士である牧田寛氏は、NHKが公開している感染者数の全国統計と都道府県別統計を用い、東京都や京都府、神奈川県などの一部の自治体では10月下旬から11月上旬にかけて感染者が増加に転じていることを示している。勿論、ベースの感染者が少ないため、いますぐ問題とはならないが、早晩、コロナ感染はそれなりの規模になるはずだ。
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