岸田新政権へのアメリカの反応は その1 中国への政策の曖昧さ
Japan In-depth / 2021年11月30日 23時0分
▲写真 菅義偉前首相、バイデン米大統領らが参加したクアッドでの会議の様子(2021年3月12日) 出典:Photo by Alex Wong/Getty Images
クアッドは確かに中国の膨張への抑止の意図を込めた安倍晋三氏の創意から始まったといえる。岸田新首相はその重要性を力説した。同時に安倍政権の最大主眼だった日米同盟の強化も岸田首相は再三、繰り返しているから、アメリカにとっての基本的な安堵感はあるようだ。
ただしワシントンでの岸田文雄という日本の政治家の知名度は高くない。
岸田氏は安倍政権で2012年12月から4年8ヵ月も外務大臣を務めた。だからアメリカ側の政府関係者との顔合わせも多かった。だがそのわりに知られていないのだ。
私自身、今回の岸田氏の首相への道が確実となってから、複数のアメリカ側関係者から「岸田氏には会ったことはあるのだが、どんな政治指導者なのか」と質問された。ある程度は知っていても、どんな人物か知っている米側の人が少ないのである。
確かに岸田氏が外相としてなにをなしとげたかというと、本人でさえ「オバマ大統領の広島訪問と韓国外相との慰安婦問題合意」をあげる程度である。いずれも実質ある外交の大きな成果とはいいがたい。
要するに現在のアメリカ側にとっても岸田文雄という人物は希薄な存在だといわざるをえないのだ。
(その2につづく。全5回)
**この報告は月刊雑誌『正論』の2021年12月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:記者会見に臨む岸田首相(2021年10月4日) 出典:Photo by Toru Hanai - Pool/Getty Images
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