キャンドル大国デンマークの悩み
Japan In-depth / 2021年12月13日 23時0分
懸念すべき点は超微粒子は吸い込むと肺の肺胞に入る可能性があるという点であるが、水溶性塩は高温に触れると融解し、体内から容易に排出されると考えられている。そのため、持病を抱えている場合を除き、キャンドルを燃焼時に水溶性塩が発生しても特に害はないといえる。
しかし、水溶性塩を容易に排出できなくなると、呼吸器系や血管系の病気などの深刻な病気を引き起こす可能性があるため、持病を抱えている場合は注意する必要がある。
環境・食糧省によると、超微粒子の高い濃度が測定されたのがクラウントップキャンドルであった。それに対して、パームステアリン(ヤシ油を結晶化して作られる混合物)またはパラフィンワックス(石油の精製過程で製造されるロウ)を使用して粒子の排出を抑えたピラーキャンドルでは低い濃度が測定された[2]。
水溶性塩の他には、ブラックカーボンの発生が懸念される。ブラックカーボンは主にディーゼルエンジンの排気ガス、石炭の燃焼、森林火災等によって排出されている。地球温暖化全体に占める12%の割合をブラックカーボンが占めており[3]、ブラックカーボンはその発がん性も問題視されている。
しかし、デンマークの環境・食糧省の調査によると、デンマークで主に使用されているキャンドルはブラックカーボンの含有量が非常に少なかった。同調査において、キャンドルのブラックカーボンや煤の排出量は少なかったが、その中で、ブラックカーボンの割合が最も高かったのがパームステアリンを使用したピラーキャンドルで、パラフィンワックスを使用したピラーキャンドルが最も低かったという[3]。
水溶性塩を主とした超微粒子や、ブラックカーボンは確かに身体や環境に悪影響を与える物質である。しかし、特に持病を抱えていない場合、水溶性塩は体内に吸収されても排出されるし、ブラックカーボンもキャンドル自体に含まれている量は少ない。もちろんキャンドルは身体と健康に良いものであるとは言えないが、特別有害であるという訳ではないのである。
・認証マーク付きのキャンドルやビーガンキャンドルを
では、身体や環境にさほど悪影響を与えないのであれば、「このままキャンドルを使い続けていいのか」という問いが出てくる。もちろん、大きな悪影響がなかったとしても、長く使い続けるなら身体や環境を考慮したキャンドルを選択する方が良いと言えるだろう。そこで認証マーク付きのキャンドルやソイワックスキャンドルを紹介したい。
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