各国成長鈍化でもバングラデシュ好調「2022年を占う!」アジア経済
Japan In-depth / 2021年12月29日 15時43分
マレーシア経済は、2021年の厳しい行動規制やその影響下での電機製品・電子部品の輸出減少などで同年第3四半期はマイナス成長に陥った。ADBは2021年の成長予測を4.7%から3.8%に引き下げ、2022年は政情不安定を考慮し、従来予測の6.1%成長から5.9%成長に下方修正した。ただ、民間消費の回復と同時に、国内のサプライチェーン回復で世界的に不足している半導体輸出増などが見込まれている。
フィリピンでは5月に大統領選が予定されている。今のところ、マルコス元大統領の長男のフェルディナンド・マルコス元上院議員に対する支持率が高い。行動規制が緩和され、それに同国にとって重要な外貨獲得源となっている出稼ぎ労働者からの送金は順調で、「Build Build Build」政策の下でインフラ投資も旺盛。リスクは、政治の不安定、それにインフレ。利上げの観測もある。ADBは2021年と2022年のフィリピン経済成長率はそれぞれ、5.1%、6.0%と予測している。
都市国家シンガポールのワクチン接種率は80%を超えており、行動規制も緩和された。個人消費、投資、輸出とも増加が見込まれる。ADBは2021年の成長予測を6.5%から6.9%に引き上げ、2022年は4.1%成長としている。
タイ経済は、2021年の9月以降、行動制限の緩和がなされ、経済回復がなされつつある。とはいえ、家計債務負担増による個人消費の力不足、輸出に対する半導体不足などの影響、観光業界の復活時期の不透明感が指摘されている。ADBは、2021年のタイの経済成長率を0.8%から1.0%に、2022年のそれは3.9%から4.0%に上方修正した。
ベトナム経済は、2021年第3四半期に新型コロナウイルス感染者拡大に伴う行動規制でマイナス6.2%と落ち込み、同年1-9月の成長率は1.4%と「歴史的な低さ」(ADB)を記録した。行動規制で南部のホーチミン市を中心とする経済圏では労働力不足に陥った。同年10月以降、行動規制は緩和されてきているが、ADBは2021年の経済成長率を従来予測の3.8%から2.0%に下方修正した。2022年は、ワクチン接種の進展を見込み、6.5%成長としている。
東南アジアと関係が深い、東アジア経済(中国、香港、韓国、台湾)に関し、ADBは2021年と2022年の成長率予測を、従来予測よりそれぞれ0.1ポイント引き下げて、7.5%、5.0%と下方修正した。中国の両年の経済成長率をそれぞれ8.0%、5.3%へと下方修正したことが響いた。
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