各国成長鈍化でもバングラデシュ好調「2022年を占う!」アジア経済
Japan In-depth / 2021年12月29日 15時43分
中国経済は減速傾向が強く、中央銀行である中国人民銀行は2021年12月20日に最優遇貸出金利を引き下げ、事実上の利下げに踏み切った。中国恒大集団の経営危機などで不動産市況は悪化している。また、IT企業への統制も強化し、香港の「中国化」も進む。利益に敏感な東南アジアの華僑系企業などへの影響が懸念される。
写真)中国湖北省武漢の恒大集団長青地区 2021年9月26日
出典)Photo by Getty Images
南アジア経済について、ADBは2021年の成長率を従来予測の8.8%から8.6%に下方修正する一方、2022年は7.0%に据え置いた。南アジアの大国、インドの経済は2021年央にデルタ株を中心とするコロナウイルス感染者拡大に見舞われ、悪化を余儀なくされたが、その後、感染の低下に伴い、経済活動は復活してきている。しかし、祝祭シーズン時の11月の乗用車販売は前年同月比18.6%減と過去7年間で最低を記録した。世界的な半導体不足、資源価格上昇の影響も懸念されている。
ADBは、インドの2021会計年度(2021年4月-2022年3月)の経済成長率は9.7%、2022年の経済成長率は7.5%と予測している。ただ、米国のFRB(連邦準備制度理事会)が2021年12月15日に決定した利上げ方針が実施されると、インドからの資金流失が懸念されるといったリスク要因はある。
アジアの「ラストフロンティア」と見られていたミヤンマ―で2021年2月に国軍によるクーデターが起きて以来、同国の中国に替わるサプライチェーンの構築先として魅力は消失した。
そこで注目されそうなのがバングラデシュ。世界銀行は2021年10月6日、2021年-2022年度(2021年7月-2022年6月)のバングラデシュのGDP成長率を6.4%と予測した。2021年10月の輸出額は47億2753万ドルと単月での過去最高額を記録。ユニクロ向けなどの衣料品輸出は好調で、駐日バングラデシュ大使館によると、日本の自動車メーカーなども同国への進出に興味を示しているという。同国はフィリピンと同様に、38万人とされる海外出稼ぎ労働者からの送金の多さで知られ、外貨準備高は2021年9月末時点で輸入額の11.4カ月分に相当する約462億ドルにのぼっている。
写真)バングラデシュ首都ダッカの旧市街 2015年6月17日
出典)Photo by Frédéric Soltan /Corbis via Getty Images
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