戦争回避の「よき前例」を(上)「2022年を占う!」国際情勢
Japan In-depth / 2022年1月1日 19時0分
「2021年=中国共産党結成100周年」
「2049年=中華人民共和国建国100周年」
という「ふたつの100年」のちょうど中間に当たる年なのである。
2035年にはまた、中国のGDPが米国を抜いて世界一になるのではないか、との予測もあるので、早い話が、かの国は今や、
「世界一の超大国になれば、台湾の国内世論も〈統一〉を歓迎するようになるに違いない。武力侵攻などと無駄な元気を出すまでもない」
といった余裕を見せるまでになったとも言える。
▲写真 中国創設100周年祭と市民(2021年6月25日、湖北省武漢にて) 出典:Photo by Getty Images
実際問題として、中国情勢に詳しいジャーナリストの間からは、台湾はすでに中国経済圏に組み込まれているので、あとは国内世論の問題だけだ、といった声も聞かれる。
我が国にとえっては「ありがた迷惑」だという他はない。
世に言う「台湾有事」すなわち台湾海峡で起きた武力衝突に日本が巻き込まれる、というリスクは当面遠のいたと見ることもできるわけだが、中国の政治的・経済的プレゼンスが今や「台湾融合」をとなえるまでになった以上、中長期的に(それこそ2035年くらいまでに)東アジア全体が中国経済圏に組み込まれて行く可能性は、ますます高まったと言える。
では、我が国はどう対応すべきか。
向こうが長期戦略を策定し、それに基づいて、武力行使も辞さないとする「統一」から「融合」へと舵を切ろうとしているのだから、こちらも見習うべき点は見習うべきであると思う。
中国を見習えとはなにごとか、などと了見の狭いことを言わないでいただきたい。
かつて日本は、欧米列強からの外圧に対し、当初こそ「攘夷」をとなえたものの、彼我の国力の差を知る機会を得た者たちは、ついには徳川幕府を倒して武家社会に終止符を打ち、文明開化=近代国家建設へと舵を切ったではないか。
もともと我が国は、地政学的にも経済的にも中国を無視することはできないし、歴史的な結びつきも深い。
だからと言って、中国が台頭してきたから早いうちに接近しよう、といった「いいとこ付き」の外交政策は、長い目で見て決して国益と合致しない。この議論は、次項ウクライナ問題を語る中で、もう一度取り上げる。
もうひとつ、中国が本当に世界一のGDPを誇る超大国になり得るか否かは、不安材料も多々あると述べたが、日本経済の危機はそれ以上に深刻である。
IMF(国際通貨基金)の統計を見れば、国民一人あたりのGDPでは、ずるずると順位を下げているし、新型コロナ禍からの経済的復興という点でも、米中の後塵を拝することとなってしまった。
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