忘れ得ぬ昭和の正月風景 年末年始の風物詩について 最終回
Japan In-depth / 2021年12月31日 23時0分
昭和の時代、末期のバブル景気の当時までは、複数のTVがある家など、そう多くはなかったと思う。
いずれにせよ平成以降は年末年始の番組も多様化し、さらにはTV以外の媒体も増えて『紅白』の視聴率は長期低落傾向にある。
ジェンダーフリーが推奨される時代に、男女対抗という番組の形式自体いかがなものかとか、いろいろなことを言う人もいるが、私の個人的な意見としては、今や「除夜の鐘」みたいなものであるから、年に一度くらい、視聴率がどうの受信料がどうのと言わずに放送を続けてもよいのではないだろうか。そもそも「見ない自由」は万人にあるわけだから。
TVもそうだが、もっと変わったのが年末年始の買い物事情である。
昭和の時代には、年末に食材のまとめ買いを怠ると、独り者(単身生活者)などは飢え死にする危険性がある、とさえ言われた。
今では信じがたい話かも知れないが、飲食店と言わず食料品店・スーパーと言わず、本当にありとあらゆる店が休んでいたのだ。私の実家から徒歩10分弱のところには、都内有数の商店街があったのだが、正月だけはシャッター通りであった。もちろん当時、そんな言葉はなかったし、たかだか4~5日の断食で餓死の危険性まではないと思うが。
そう言えば、おせち料理の定番(これまた地方によって様々だが)である、蒲鉾、塩数の子、昆布巻きなどは、いずれも保存食だ。やはり、正月は市場も店も閉まることと、無関係ではあるまい。
▲写真 おせち料理と子ども(イメージ) 出典:Yuji Arikawa / Getty Images
これも今や、コンビニをはじめ年中無休という商店が増えて、便利になったのか風情がなくなったのか、という話になっている。ただし令和になってからは「働き方改革」とやらで、大手スーパーなども元日は休むようになってきている。
正月風景と言えば、若い読者でも『お正月』という唱歌くらいはご存じではあるまいか。
「お正月には 凧あげて こまをまわして遊びましょ」
というのが歌詞の一節だったが、当時すでに、都内の住宅地は電線が張り巡らされていて、凧あげなどできはしなかった。もっとも、同じ板橋区内でも田舎の方、もとい、荒川土手まで歩いて行けるようなところで育った旧友の話では、凧あげが正月に限らず遊びの定番だったそうなので、一概には言えないようだ。
他に羽根つき、双六、福笑いというのが、正月の遊びだったようだが、これまた、いつの時代の話だろう。
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