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バイデン外交の回顧と展望 私の取材 その6 オーストラリアがなぜ原子力潜水艦を

Japan In-depth / 2022年1月4日 11時0分

▲写真 スコット・モリソン豪首相 出典:Jenny Evans/Getty Images





モリソン首相は、オーストラリアの潜水艦を原子力にしなければいけないと考え、アメリカに必死で頼んだことが、AUKUS結成の背景だと明かしているのだ。バイデン大統領の発想というよりもモリソン首相の発想だったというのだ。





潜水艦には、弾道ミサイルなどを発射するミサイル発射型と、海上艦艇や他の潜水艦を攻撃する攻撃型の2種類がある。攻撃型の潜水艦を中国は約60隻、アメリカは約50隻保有している。





それに比べて、オーストラリアは古い潜水艦を8隻ほど保有しているだけだった。しかもそれも使い物にならなくなってきているという。そこで、中国の軍事的脅威に備えて、なんとか潜水艦戦力を拡充しなければならないとモリソン首相らは考えるようになったのだ。





その契機となったのが、オーストラリアと中国の関係悪化である。2020年にはモリソン首相は「コロナウイルスの発生源は武漢なので、武漢に国際調査団を送り、徹底的に調査しなければいけない」と発言した。この発言に中国は猛反発し、オーストラリアからのビールや小麦の輸入を停止してしまった。





さらに、中国政府は「オーストラリアには留学生も出さない」などと発言をエスカレートさせた。官営新聞『環球時報』編集長の胡錫進(こしゃくしん)氏は、「豪州は靴の裏にこびりついたチューインガムのようなものだ」とSNSに書き込んだ。





豪中関係がここまで悪化してしまったため、モリソン首相が「なんとか豪中関係を改善する方法はないのか」と発言したところ、2020年11月に、中国の駐オーストラリア大使が、次世代通信規格「5G」の通信網からの中国企業排除など、オーストラリアに対する14項目の不満を示し、「それらを改めれば中国の態度は変わる」と伝えた。





これらの要求は、オーストラリア側が到底飲めないような屈辱的な内容であり、オーストラリアは中国への不信感を一層高めたとされる。そのオーストラリアの怒りが原子力潜水艦の調達へと向かったわけだ。





つまり、バイデン政権が統合的戦略に基づいて、オーストラリアに原子力潜水艦供与を提案したのではなく、重要な同盟国であるオーストラリアから懇願された結果、アメリカが応じたということだ。いずれにせよ、オーストラリアの原子力潜水艦保有は、中国にとっては大きな脅威となるだろう。





ただ、オーストラリアの原子力潜水艦保有の展望には不透明の部分もある。中国がさらに態度を硬化させ、インド太平洋情勢はますます緊迫するという見方もある。





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