バイデン外交の回顧と展望 私の取材 その6 オーストラリアがなぜ原子力潜水艦を
Japan In-depth / 2022年1月4日 11時0分
東南アジア諸国の態度も分かれている。AUKUSに対してマレーシアとインドネシアは反対の立場のようだ。一方、シンガポールとベトナムは賛成している。
▲写真 アフガニスタンから撤収する米兵(2021年5月11日 バグラム空軍基地) 出典:Robert Nickelsberg/Getty Images
一方、バイデン政権の中東政策はどうなっていくのか。
近年のアメリカの歴代政権にとっての中東政策の焦点は、対イラン政策とイスラエルとの関係に収斂される。
今回、アメリカがアフガニスタンの拠点を失ったことは、イラン側にとっては有利な状況をもたらすことになる。また、タリバン支配の政権誕生は中国にとって有利であり、中東に対して安全保障面でにらみを利かせていたアメリカの態勢が揺らぎかねない。こうした中で、バイデン政権にとって、中東政策の核心である対イラン政策は非常に大きな課題だ。
イランとアメリカの間にはオバマ政権が結んだ核合意という取り決めがあった。イランは核兵器保有を目指して、ウラン・プルトニウム開発を進めていた。そこで、当時のオバマ政権はイランの核兵器開発を制限するために、2015年に英・仏・独・ロ・中とともにイランと核合意を結んだ。
共和党はこの合意は不十分だとして反対していた。この核合意は、イランの核兵器開発を遅らせるだけで、最終的にイランの核兵器開発を止めさせるところまで踏み込んでいなかったからだ。
▲写真 イラン核合意の当事国による合同委員会が再開(2021年4月15日 オーストリア・ウィーン) 出典:EU Delegation in Vienna via Getty Images
(最終回に続く。その1、その2、その3、その4、その5。全7回)
トップ写真:豪海軍が導入予定とされる米海軍のバージニア級攻撃型原子力潜水艦 出典:Stocktrek Images/Getty Images
**この記事は公益財団法人の国策研究会の月刊機関誌「新国策」2021年12月号に掲載された古森義久氏の同研究会での講演の記録の転載です。
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