台湾人の高い祖国防衛意識
Japan In-depth / 2022年1月4日 23時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・昨年、台湾で世論調査(「台湾の民主的価値とガバナンス」)が実施された。
・「台湾が『独立宣言』したが故に、中国が台湾侵攻した場合、台湾防衛のために戦うか」という設問では、「戦う」と回答した人は62.7%。
・台湾人(特に、民進党支持者)の祖国防衛意識が高い事がわかる。中国の台湾侵攻は決して容易ではないだろう。
昨2021年、シンクタンク「台湾民主基金会」は台湾国立政治大学選挙研究センターに依頼して、同年8月10日~15日にかけ20歳以上の1299人を対象にした世論調査(「台湾の民主的価値とガバナンス」)を実施した。12月29日、同基金会は、その調査結果を明らかにしている(誤差は±2.72%)。
なぜ、発表まで4ヶ月以上も要したのか。おそらく、同基金会は、12月18日の「4つの公民投票」(8月行われる予定が延期)実施まで、結果を公表しないというスタンスだったのではないだろうか(結局、国民党が提出した議案は、関門である約495.6万票余りの賛成票を獲得できず、かつ反対多数で、すべて通過しなかった)。(参考記事:台湾「公民投票」不発、蔡政権安堵 )
今度の世論調査では、3つの大きな設問が用意された。とりわけ、第2番目が重要ではないか。
第1に、民主主義に関して、である。「『民主主義には問題があるかもしれないが、やはり最も良い制度である』という人がいるけれども、それに賛同するか」という質問だった。結果は75.3%が賛同し、14.1%が賛同しなかった(「無回答」は10.5%)。
次に、「今の台湾の民主主義政治に対し満足しているか」という質問である。53.2%が満足していると回答し、40.6%が不満だと回答した(「無回答」は6.2%)。
更に、「台湾の民主主義の未来に対し楽観的か、それとも悲観的か」という質問では、55.3%が楽観的だと答え、36.5%が悲観的だと答えている(「無回答」は8.2%)。
第2に、台湾の民主防衛に関して、である。「台湾が『独立宣言』したが故に、中国が台湾侵攻した場合、台湾防衛のために戦うか」という設問では、「戦う」と回答した人は62.7%で、「戦わない」と回答した人は26.7%だった(「無回答」は10.6%)。
ただ、そもそも台湾が「独立宣言」うんぬんという設問自体、“不適切”ではないか。中国共産党が(澎湖島を含む)台湾本島を実質的に統治しているのであればともかく、同党はかつて一日たりとも台湾本島を支配した事実はない。中国に統治されていない台湾が、どのように「独立」するというのか。
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