台湾人の高い祖国防衛意識
Japan In-depth / 2022年1月4日 23時0分
一般的に、中国からの「台湾独立」とは、「一つの中国」という“虚構”から台湾が「独立」するという事であり、いわば“言葉遊び”の域を出ない。
本来、台湾の「独立宣言」とは、①台湾の国名変更(中華民国から「台湾共和国」へ)、および②新憲法制定(中華民国憲法を「台湾共和国」憲法へ)を指すのであり、決して台湾が中国人民共和国から「独立」する事ではない(実際、米国は海峡両岸が緊張するのを恐れ、台湾に対し①と②を許していない)。
次の設問は、「もし中国が台湾を統一する際に武力を使用したら、台湾防衛のために戦うか」である。「戦う」と答えた人が72.5%、「戦わない」という人は18.6%にとどまった(「無回答」は9.0%)。
「戦う」と回答した割合だが、20代は78.9%、30代は80.0%、40代は77.8%、50代は75.7%、60代以上は60.0%で、比較的年齢が低いほど中国と「戦う」という意志を示した。
大半の20代、30代は、台湾の「民主化」が開始された1980年代後半以降に生まれ育った。彼らは台湾の成熟した民主主義の恩恵を享受している。他方、習近平政権下、香港の「1国2制度」が終焉し、事実上「1国1制度」へと変貌したのを目の当たりにしている。彼らは、中国共産党に支配されたら最後、台湾がどうなるのか、よく理解しているのではないか。
なお、この設問は、前問の「台湾が『独立宣言』した故に、中国が台湾侵攻した場合、台湾防衛のために戦うか」という回答よりも「戦う」という回答が10ポイント近く増えている。つまり、中国側が“一方的”に台湾を「武力統一」しようとした場合には、「戦う」意志を持つ台湾人が多い。
▲写真 2019年5月25日台湾・金門で、金門島での対侵攻訓練中の台湾海兵隊特殊部隊。 出典:Photo by Patrick Aventurier/Getty Images
ところで、台湾国立政治大学政治系の兪振華教授(兼同大学選挙研究センター研究員)は「中国が武力統一のため台湾へ侵攻する場合、与党・民進党支持者のうち90%が、野党・国民党支持者のうち過半数が『戦う』という考えを持つ」と指摘した(『自由時報』「『抗中保台』はスローガンではない!世論調査:台湾人10人のうち6人以上が祖国のために戦う」2021年12月29日付)。
第3に、偽情報に関して、である。「偽情報が台湾の民主主義政治発展に危害を及ぼしていると思うか」という問いだった。
「大変な危害を及ぼしている」と回答した人は62.6%、「多少危害を及ぼしている」と回答した人は26.5%、「ほとんど危害を及ぼしていない」と回答した人は5.7%だった(「無回答」は5.2%)。
次に、「『偽情報も言論の自由の範囲で許されるべきであり、政府がその偽情報を規制すべきではない』という人がいるが、その意見に賛成するか」という問いだった。これに対して、79.9%が反対し、賛成は14.2%に過ぎなかった(「無回答」は5.9%)。
今回の世論調査で、台湾人(特に、民進党支持者)の祖国防衛意識が高い事がわかる。したがって、中国の台湾侵攻は決して容易ではないだろう。
トップ写真:2019年5月30日、台湾・屏東にて反侵略訓練中の台湾砲兵 出典:Photo by Patrick Aventurier/Getty Images
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