バイデン政権の対露「宥和政策」
Japan In-depth / 2022年1月7日 22時23分
米軍がウクライナに軍事介入することはないし、ロシアが軍事侵攻すれば、厳しい経済制裁を科す、NATOの同盟国と協議しながら外交的解決を目指す、云々。どれも一つ一つは間違ってはいないが、これを全体的に見れば、バイデン政権の対露政策は「宥和政策」にしか見えない。勿論、「融和」ではなく、悪い意味の「宥和」である。
同様のことは、日本の対中政策についても言えないだろうか。北京冬季五輪への対応は「外交ボイコット」とは呼ばないが、閣僚レベルの代表は送らず、中国の人権問題については強い懸念を表明し続ける。これで北京は困るだろうか?恐らくは、「痛くも痒くもない」のではないか。
▲写真 記者会見する岸田文雄首相(2021年12月21日 首相官邸) 出典:Photo by Yoshikazu Tsuno - Pool/Getty Images
今週のJapanTimesコラムはこの点を掘り下げてみるつもりだ。ちなみに、英語のコラムも少し回数が減るかもしれない。これも、一定水準の内容を維持するための試みの一つである。さて、こうやってみて、うまく「充電」できるだろうか。数は減っても、内容は増えたと言われるよう、引き続き精進していくつもりである。
〇アジア
香港の民主派系インターネットメディア「衆新聞」が新年早々運営を停止した。香港国家安全維持法による蘋果日報、立場新聞の消滅に続く悲しい事件である。香港の主要な民主派系メディアはほぼ壊滅状態となったようだが、香港民主主義の復活は難しい。残念だが、元々、民主主義の伝統などなかったからだ。
〇欧州・ロシア
欧州委員会が「サステナブル・ファイナンス・タクソノミー」規則に天然ガスと原子力の投資を含めると決定したそうだ。そりゃ、当然だろう。天然ガスと原子力発電を抜きに、欧州の「脱炭素化」は語れないからだ。ところが、日本では「原子力発電」自体が事実上停滞している。これでどうやって「脱炭素」をやるのだろうかねぇ。
〇中東
スーダンでは、昨年クーデターで軍に排除された後に復帰していた暫定首相が辞任を表明した。「この国の民政への移行期間の残りを他の人に託したい」と述べたというが、やっぱりね。要するに政治力不足で、政権を放り投げた格好だろう。軍が受け入れる人物では民主化など不可能だし、スーダンの苦悩は続きそうだ。
〇南北アメリカ
毎度お騒がせのブラジル大統領が新年早々、腹痛を訴えて入院したそうだ。2018年に暴漢に腹部を刺され、後遺症で何度か入院しており、今回も腸閉塞が疑われているらしい。今年10月の大統領選で再選を目指すが、世論調査では返り咲きを狙う左派の元大統領の方が優勢らしい。BRICS、BRICSと騒いだのも今は昔か?
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキャノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:米露首脳会談(2021年6月16日 スイス・ジュネーブ) 出典:Photo by Peter Klaunzer - Pool/Keystone via Getty Images
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