米議会、バイデン大統領にダライ・ラマ支援要請
Japan In-depth / 2022年1月9日 23時0分
今回、連邦議会の議員有志からバイデン大統領に渡されたチベット問題に関する書簡の要旨は以下のようだった。
・バイデン大統領に対してダライ・ラマとできるだけ早期に直接、面会して、アメリカ政府の対外政策のなかでもチベットへの中国当局の弾圧への抗議が重要項目となっていることを内外に明示するよう要請する。
・バイデン大統領はダライ・ラマをホワイトハウスの大統領執務室に招いて、今年86歳になったチベットの最高宗教指導者の道義的なメッセージを中国当局や国際社会に広範に伝える。
・バイデン大統領がもし直接にダライ・ラマに会えない場合はハリス副大統領を特使として任命し、インド領内のチベット亡命政権とともに活動しているダライ・ラマとの面会のために派遣する。
・中国当局はダライ・ラマの後継指導者としてチベット人が独自に選んだパンチェン・ラマを消息不明とし、中国当局としての別の後継指導者を任命したが、アメリカ政府としてはこの種の中国の介入に反対する。
▲写真 1995年、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマから、パンチェン・ラマ11世に認定された直後、拘束され、以来一度も姿が確認されていないゲンドゥン・チューキ・ニマさんの行方不明のポスターの脇で行われるカラチャクラ(時輪金剛)のイニシエーション。 インド・アーンドラプラデーシュ州・アマラヴァティ 2006年3月26日 出典:Photo by Frédéric Soltan/Getty Images
以上の趣旨の書簡は議会でも与党の民主党の有力議員によっても署名されており、バイデン大統領としても軽視はできないこととなる。
▲写真 ハリス米副大統領とバイデン米大統領(2022年1月6日ワシントンDCで・国議会議事堂にて) 出典:Photo by Ken Cedeno-Pool/Getty Images
チベット問題に関してはアメリカ議会では伝統的に中国の抑圧への批判が強いが、民間でもチベット人の信仰や文化の破壊の危険に抗議する動きも同様に伝統的に広範である。
たとえば日本でもよく知られた俳優のリチャード・ギア氏などはチベット支援団体の幹部としてアメリカ議会などでもたびたび証言して、中国政府の弾圧に厳しい非難をぶつけている。
アメリカ議会でのこうした動きは人権問題担当の首相補佐官を新設し、中国の人権弾圧にも発言を強める姿勢をみせた岸田政権にとっても参考になるといえよう。
**この記事は日本戦略研究フォーラムの古森義久氏のコラム「内外抗論」に掲載された寄稿論文の転載です。
トップ写真:バラク・オバマ米元大統領と会談する、ダライ・ラマ氏(2010年2月18日) 出典:The White House
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