経済力競争軸の“米中”新時代に突入「2022年を占う!」国際政治
Japan In-depth / 2022年1月10日 7時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・習近平国家主席、昨年の共産党結党100周年の演説以来、“強国路線”を強調してきた。
・政敵を追放し、軍事力を増強、自らの権力を強化して習氏は毛沢東主席以来の比類なき“一強体制”を築いた。
・2020年からは明らかに経済力競争を軸とした“米中”の新時代に入った。
2022年の世界の動きを見る上で、最も気になる国は中国だろう。習近平総書記は、昨年7月の中国共産党結党100周年の演説以来、再三にわたり高圧的態度で中国を誇示し、中国の“強国路線”を強調してきた。
「我々をいじめ服従させ、奴隷にしようとする外国勢力を中国人民は決して許さない。妄想した者は14億人の中国人民が血と肉で築いてきた鋼の長城にぶつかり血を流すことになる」「教師づらした偉そうな説教は受け入れぬ」「中華人民共和国の建国、改革開放を経て世界第2位の経済大国に発展してきたのは共産党が存在したからだ。共産党がなければ新中国もなく中華民族の偉大な復興もない」「(米国から専制主義と指摘されることに対し)中国共産党の指導は、中国の特色ある社会主義が最大の優位点だ。共産党がなければ新中国もなく、中華民族の偉大な復興もなかっただろう。」と述べている。
また歴代指導部が目指していた「小康社会(ややゆとりのある社会)」の全面的実現を宣言し、その次の目標を建国から100年となる2049年ごろまでに「社会主義現代化強国」を完成させると定めている。このためこれまで2期10年とされていた総書記の任期には触れず、2期以降も習近平氏が、“国家主席”として指導にあたることを示唆したものと受け止められている。台湾統一問題についても、揺るぎない歴史的任務だとし、2035年を目標に経済力や科学技術、国防などについて各種目標を掲げ、習氏が2035年まで権力を握り続けることを明らかにしている。
さらに新華社通信は7月8日に歴代指導者のうち毛沢東と鄧小平、習近平の3氏にのみふれる解説を公表し、習近平氏が今後の党の“核心”的存在であると位置づけ、江沢民や胡錦涛・前総書記、鄧小平氏らは高度成長を導いた過渡期の指導者たちとひとくくりにして位置づけた。中国革命史上で“第三の歴史決議”を採択した習近平氏が現在の党の核心的存在であり“新時代”を切り開いた国家主席である、と内外に明示しているのである。
習近平氏は、1953年6月に北京で生まれ現在68歳。様々な資料などによると父の習仲勲が八大元老の一人であったため文化革命中は反動学生として紅衛兵に批判され、監獄にも入れられたことがある。1969年から7年間にわたり陝西省延安に下放(追放)されるがその間に共産党に入党、模範的な学生として推薦入学で名門清華大学化学工学部に入学。79年に優秀な成績で卒業すると政府入りし、82年から河北省、福建省、浙江省、上海市などで2007年までに様々の役職に就いている。
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