アメリカの日本研究者はいま その2 日本の戦後への総攻撃
Japan In-depth / 2022年1月10日 19時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日本の戦争行動を糾弾する国際セミナーについての私の報道が標的に。
・外務省管轄下の部門が、政府の政策を「軍国主義復活」などと発信する「奇妙さ」を私が指摘。同部門は閉鎖に。
・私に関し、ジャパン・フォーラムに「言論弾圧」や「テロリスト扱い」の投稿が相次ぐ。私は米紙上で全面的に反論。
私がこのジャパン・フォーラムで攻撃されるようになった実際のケースを報告する。
第一の実例は日本の国際交流基金がアメリカ側の社会科学研究評議会と協力してワシントンで開いた「記憶と和解」と題する国際セミナーについての私の報道だった。もう古い話で、2003年2月だった。
このセミナーの中核はジョージワシントン大学のマイク・モチズキ、楊大慶両教授だった。その他、中国、韓国などの学者を含め合計20数人で日本の戦争行動やその後の対応への非難が主体だった。
日本からも藤原帰一東大教授らも参加し、ほぼ全員が日本は戦争行動に関して反省も謝罪もせず、アジア諸国との和解もできていないとする糾弾を改めて繰り返した。
私も招かれて参加し、日本側では戦争犯罪については謝罪も賠償も済ませ、アジア諸国との和解もできているという少数意見を述べた。だが日本側のその種の対応を当事者として述べうる参加者はだれもいなかった。
私は記者としてこのセミナーの内容を報道した。その報道は「対日糾弾セミナー 中韓の学者ら戦後対応を非難」というような見出しの産経新聞の記事となった。
この記事に参加者の多くが抗議をしてきた。後にジャパン・フォーラムの常連となるコネチカット大学のアレクシス・ダデン助教授(後に教授)などは私の報道を「人種差別主義的」だとまで断じてきたのには驚いた。
他にもこのときの私の記事を標的にして、右翼、軍国主義的、修正主義、危険などという左翼の典型的なののしり言葉を浴びせる米側、中韓側の人たちが出て、その後もジャパン・フォーラムをも同種の投稿の場として利用するようになったのだ。
第二の契機は日本の外務省管轄下の日本国際問題研究所の、奇妙な英文発信について書いた私の記事だった。2006年8月だった。
この英文発信は日本の対中政策を「愚かで独善、不当」などと評し、日本では「軍国主義復活」だと断じていた。日本政府の対外政策のほぼ全面的な否定だった。外務省の傘下にある研究機関からの対外発信としてはあまりに奇妙だったのだ。
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