北京冬季五輪、外交ボイコットは最善手だったのか
Japan In-depth / 2022年1月11日 11時51分
しかし、日本はその機会を放棄した。その点で今回の選択、事実上の外交的ボイコットは最善手とはならないのである。
▲写真 モスクワオリンピック開会式(1980年7月19日) オリンピックは国に衰頽をもたらす。運動会に法外な金をつぎ込む無駄を進める。その段階で国は誤っている。甚だしきはソ連やユーゴスラビアは五輪から十余年で滅んだ。日本も東京五輪で国は疲弊している。仮想敵国中国が再び五輪の無駄を進める現状は悪くはない。日本はむしろ応援歓迎すべきである。 出典:Photo by Giuliano Bevilacqua/Sygma via Getty Images
■ 日米関係での利益もない
第二は対米関係における利益も生まないことだ。日本は外交的ボイコットをしてもしなくても日米関係は何も変わらない。その点で閣僚派出は避けるべき選択肢とはならない。
米国にとっても外交的ボイコットはどうでもいい話である。モスクワ五輪のようにオリンピックそのものを共同してボイコットする話ではない。実際のところ米国は五輪成功のために選手を送るのである。
だから日本は米国から何のご褒美も貰えない。その後を見ても日米問題での配慮といった利益を米国から全く引き出せていない。隠れたご褒美にしても政治家や外交官が個人的に感謝されたくらいだろう。
▲写真 立ち話する岸田首相とバイデン米大統領(2021年11月2日 英・グラスゴー) 出典:内閣広報室/外務省ホームページ
逆に、日本が閣僚を派出しても米政権は別段咎めだてもしない。
残念であるとも言わない。「残念である」というだけで外交的ボイコットが賛同を得られなかった姿が強調されてしまうからだ。
仮に失点があっても日本は容易に挽回できる。その程度の対米関係での失点なら例えば日米防衛協力での得点で簡単に回復してしまう。
損得関係からすれば損は無視してよい。閣僚派出で日本はコストなしに中国から得点、例えば80点を獲得できる。対して日米関係では損をしない。しても3点の損にとどまる。しかもそれは日米防衛協力ほかで容易に回復できる失点に過ぎない。
■ 効果がない
第三は効果を期待できないことである。
外交的ボイコットにより中国の人権状況改善が見込めるだろうか。
見込めない。米国以下が実施しても新疆やチベットでの人権状況や民族性問題は改善しない。
中国を敵視している姿勢を強調して終わってしまう。結局は効果もないパフォーマンスでしかない。
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