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どうなる成人式(下)民法改正「18歳成人」に思う その2      

Japan In-depth / 2022年1月14日 0時5分

 ここで前回述べたことを少しだけ補足しておくと、成人年齢を20歳とする旧民法は、1876(明治9)年に制定された。今次の改正の理由として、日本人が好きな(?)
「18歳から成人と見なすのは世界の大勢」
 というのが挙げられている(法務省のホームページにも、ちゃんとそう書かれている)。


 たしかに今や140か国以上が、法的に18歳以上を成人と規定しているし、これまた日本人が大好きな「欧米では」という話をすると、1970年代に相次いで18歳以上を成人とする法律が成立したが、それ以前は、18~21歳の間でまちまちであった。


 とは言え我が国の場合、国民投票を含む選挙権を先んじて18歳以上に与え、それから民法が改正されているので、これはどう考えても本末転倒だろう。少年法も先んじて改正されているが、この問題については項をあらためて見る。


 話は変わるが、女性の新成人が振袖を着て参加する風習について、ここで少しだけ考えてみたい。と言うのは「18歳成人式」に対する強硬な反対論があり、その論拠が振袖を着る習慣にあるからだ。


 どういうことかと言うと、現在我が国では満18歳の女性のうち90%以上が高校生なので、成人式の年齢まで18歳に引き下げてしまうと、成人式も学校行事の延長に過ぎなくなり、参加も制服で十分ということにもなりかねない。着物業界としては死活問題である。



写真)袴姿で成人式に臨む男性も目立つようになった。
出典)Photo by Koichi Kamoshida/Getty Images


 振袖とは江戸時代の町人文化の中から生まれた服装で、もともと女性の着物は袖の縫いつけに余裕を持たせていたが、これは熱がこもるのを防ぐためだとか。前述の月代もそうだが、エアコンなどない時代に、高温多湿の風土に対応する工夫は重要だったのだ。


 着物の袖が長くなったのは、女性の身長が伸びたという理由の他、踊りを披露する際に舞台映えがする、袖を振ることは「厄(悪運)を振り払う」に通じて縁起がよい、とされたからであるらしい。このことから、町人文化と言っても、比較的富裕な層から生み出された流行だったのだろうと推察される。


 一説によれば、江戸の町娘は、振袖を外から内に向けて振ると「殿方の気を引く」ことができ、逆に外側に向けて振ると、自分にはその気がない、という合図になると考えていた。


 今でも、好きな相手に思いが届かない状況を「振られた」「袖にされた」と表現するのは、どうやらこれが語源であるらしい。


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