中国「クーデター」未遂事件と党内闘争
Japan In-depth / 2022年1月15日 20時22分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・中国で「クーデター」関連報道相次ぐ。
・全国人民代表大会常務委員長栗戦書の“失脚説”も囁かれたが、1月11日、第19期6中全会シンポジウムに、2週間ぶりに姿を現している。
・第20回党大会を前に、共産党内の権力争いが更に激化する前触れかもしれない。
一昨年初春、中国天津市で「クーデター」が発生したという(『看中國』「戦闘機が天津市で墜落 中国軍東部戦区の『反乱』か」2020年3月7日付)。その戦闘機には、ある軍人が乗っていたが、ミサイルで撃墜されている。
他方、昨2021年12月下旬、今度は空軍上将、劉亜洲による「クーデター」が発覚した。劉亜洲は、李先念元国家主席の娘、李小林(中国人民対外友好協会会長)と結婚している。劉は、中央紀律検査委員会委員や中国人民解放軍国防大学政治委員などを歴任した。
オーストラリア在住の袁紅冰は、昨年暮れ、劉亜洲が軍事「クーデター」を起こしたが、結局、未遂に終わったと指摘(『大紀元』「劉亜洲逮捕の真相 太子党の中核は反習近平か?」2022年1月3日付)している。後述するように、劉亜洲は、習近平主席に対し不満を抱いていたという(同)。
ただ、袁紅冰は、劉は“逮捕”されたのではなく、当局に“軟禁”された状態だと語っている(『大紀元』「劉亜洲の逮捕の真実、中核の太子党は反習近平か?」2022年1月4日付)。
元来、劉亜洲は台湾との「武力統一」を唱えるなど、軍の「強硬派」として知られていた。ところが、袁紅冰によれば、近年、劉の考えが若干、変わったという(同)。以下がその主旨である。
中国共産党は、何十年もの間、台湾との統一を目指してきた。だが、大半の台湾人は同党による中台統一を拒否している事が明確化している。劉は同党の「平和的統一」作戦を失敗だと思った。そのため、劉は同党の対台湾「武力統一」が唯一の選択肢だと考えている。
同時に、この台湾に対する「武力統一」作戦は、中国共産党の運命を賭けた博打であり、この戦いは必然的に同党と日米間で、決定的な対決を引き起こす。
かつて、劉亜洲は自身が企画責任を務めたプロパガンダ映画の中で、中国共産党と米国間の決闘はすでに開始されたという見方を示した。また、劉は、中国が米国に代わって新しい“国際秩序形成者”(=世界覇権国家)になるためには、台湾との「武力統一」で、必ず日米との生き残りをかけた決戦に直面するだろうと示唆した。
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