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中国「クーデター」未遂事件と党内闘争

Japan In-depth / 2022年1月15日 20時22分

このように、劉亜洲は、台湾との「武力統一」を提唱している。けれども、習近平主席には大きな賭けや潜在的な決戦に挑む能力はなく、また、戦いに勝つための戦略的ビジョン、大胆さ、野心もない、と劉は考えた。そこで、劉は、今秋の第20回党大会で習主席の再選を阻止し、総書記を別の人物に換えたいと願った。


実は、劉亜洲は“逮捕”直前、曾慶紅(もともと「江沢民派」の大番頭だが、目下、江沢民の健康が思わしくないので、事実上、同派の首領)と王岐山国家副主席に会ったという(『Gnews』「曾慶紅と王岐山が劉亜洲を助けるために乗り出す」2021年12月 31日付)。たとえ曾と王が劉の「クーデター」に直接関わっていなくても、彼らは暗黙の裡に劉を支持していた公算が大きい。



写真)中国共産党100周年を記念大会で大画面に登場した中国の習近平国家主席 2021年6月28日 北京のオリンピックスタジアムにて
出典)Photo by Kevin Frayer/Getty Images


ところで、昨年12月31日、全国人民代表大会常務委員長の栗戦書(党内序列は、習近平総書記、李克強首相に次ぐ第3位)が、なぜか新年茶話会に出席しなかった。


茶話会の直前、12月24日、栗戦書は全人代常務委員会閉幕時、講話を発表した。また、12月27〜28日の民主生活会も主催している。栗は元気そうだったという。


この栗戦書の茶話会欠席をめぐり、中国内外では様々な憶測を呼んだ。一時、栗の“失脚説”も囁かれた。しかし、1月11日、第19期6中全会シンポジウムが開催され、2週間ぶりに栗戦書は姿を現している。


周知の通り、昨年11月の6中全会では、習近平主席を讃える「第3の歴史決議」が盛り込まれた。その中に、栗戦書は江沢民の“腐敗ぶり”を書き入れるよう主張したという。だが、「江沢民派」の張高麗(前第1副首相)が猛反発し、その書き込みを阻止した(『大紀元』「栗戦書は中央紀律検査委員会に告発されたか?」2022年1月6日付)。


そこで、栗は有名テニス選手の彭帥を利用し、張高麗の彭に対する“性的暴行事件”をSNSへ投稿させたという(同)。ただし、その後、彭選手の動向は当局の管理下におかれ、彼女の本当の様子は不明である。


一方、年明け1月8日、習近平政権は2人の大物を失脚させた。現在、チベット自治区の張永沢副主席は最高人民検察院によって拘束され、取り調べを受けている(『新華社』「チベット自治区政府副主席、取り調べ中」2022年1月8日付)。同様に、「中国人寿」董事長(理事長)の王浜も逮捕され、取り調べられている(『ロイター』「中国人寿集団董事長王浜が、重大な規律違反の疑い 中央紀律検査委員会が調査中」同1月10日付)。


ひょっとすると、「反習近平派」による栗戦書“失脚説”流布を機に、「習近平派」が「反腐敗運動」の名の下、反撃に出た可能性がある。これは、第20回党大会を前に、共産党内の権力争いが更に激化する前触れかもしれない。


トップ写真)栗戦書全国人民代表大会常務委員長
出典)Photo by Andrea Verdelli/Getty Images


 


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