焼殺、斬首と非道尽くす ミャンマー軍
Japan In-depth / 2022年1月18日 11時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ミャンマーはクーデターから1年を前に反軍政武装勢力との間で実質的な内戦状態に。
・軍政は一般市民も拷問、銃殺、焼殺、斬首していると反軍政メディアが報道。
・ASEAN各国はミャンマー問題で路線が異なり、一枚岩になれず。
2月1日にクーデター発生から1年を迎えるミャンマーでは軍政による武装市民や少数民族武装勢力との戦闘が激化しており、実質的な内戦状態が続いている。
ミン・アウン・フライン国軍司令官がトップを占める軍政はクーデター1周年を前に国内の治安状況安定を内外に示すため、各地で攻勢に出ており、それに伴う戦闘激化で武装市民以外の一般市民の犠牲者が増えている。それも拷問の末の銃殺や生きたままの焼殺、斬首などの残虐な方法による殺害と激しい人権侵害の実態が軍政に反発する独立系メディアなどで伝えられ、極めて深刻な状況となっている。
▲写真 茂木敏充外務大臣とミン・アウン・フライン国軍司令官が会談(2019年10月9日、日本) 出典:外務省ホームページ
独立系メディアのひとつ「ミッズィマ」が14日に伝えたところによると、中部サガイン地方域パレ郡区ウ・ナウク村で10日朝から市民武装勢力である「国民防衛隊(PDF)」の現地組織メンバーが会議を開いていたところ午前10時頃から軍の航空機による空爆を受けた。
その後軍部隊が同村に侵入し、辛うじて難を逃れた村人がメディアに証言したところによると、兵士がPDFとみられる服装をした男性らを拘束し、全員の服を脱がせて裸にした上で後ろ手に縛り上げさらに木の棒にくくり付けた。そして男性らは生きたまま火を放たれて焼殺されたほか、何人かは斬首されて殺害されたという。
パレ郡区のPDF指導者であるボ・ナガ氏の兄弟に当たるPDF司令官のマウン・ミント氏も兵士によって斬首され、その首はトイレの屋根の上にこれ見よがしに残置されたとウ・ナウク村の住民は証言した。
■ 残虐非道な人権侵害の実態
今回のウ・ナウク村での軍兵士による残虐な殺害は、軍が人権に全く配慮することなく、無抵抗・非武装の一般住民も武装市民のメンバーあるいはその支援者であると一方的に見なして、PDFの戦闘員や少数民族武装勢力の兵士と同じように無慈悲に殺害しているという実態を浮き彫りにしている。
1月8、9日にインドと国境を接する北西部チン州マトゥピ郡区キルン村、ロンロウ村やカセ村などで地元PDFと少数民族武装勢力である「チンランド防衛隊(CDF)」との戦闘に巻き込まれた一般市民10人が軍兵士によって虐殺される事件も明らかになっている。
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