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焼殺、斬首と非道尽くす ミャンマー軍

Japan In-depth / 2022年1月18日 11時0分

この事件にはマトゥピに駐屯する陸軍第140歩兵大隊が関係しているが、軍政のゾー・ミン・トゥン国軍報道官は地元メディアに対して「マトゥピ地区ではテロリストであるPDF要員が活動中で軍への攻撃を繰り返していた。このため小競り合いがあり犠牲者がでて武器を押収した。軍が無抵抗の一般市民を攻撃することはない」と事件について説明、軍の行動の正当性を強調した。





しかし現地のPDF指導者によると10人の犠牲者には銃弾による傷はなく、9人は後ろ手に縛られて喉を切られて死亡しており「戦闘による死亡ではなく虐殺である」と指摘している。





このほか昨年12月7日には中部サガイン地方域では、ドンドー村に進攻した軍部隊が爆発物による反撃を受けた。その報復に逃げ遅れた住民11人を拘束し、拷問の末生きたまま焼殺したという。犠牲者のうち6人は14歳から17歳の少年だったと目撃者は伝えている。





こうした非道な軍の行為は地方都市に限らない。中心都市ヤンゴン(旧首都)でも12月5日、民主化を求める市民のデモ隊の列に軍用車両が猛スピードで突っ込み、デモ参加者の市民5人が殺害され、8人が負傷、10人が逮捕される事件も起きている。









▲写真 政府軍が橋を渡るのを阻止しようとするデモ隊(2021年3月16日、ミャンマー・ヤンゴン) 出典:Photo by Stringer/Getty Images





■ ASEANAの仲介・和解工作も暗礁に





こうしたミャンマー問題の仲介・和解に向けて欧米社会とは異なる対話のアプローチを続けている東南アジア諸国連合(ASEAN)だが、加盟国間の温度差が顕著になり暗礁に乗り上げている。





1月7、8日にカンボジアのフン・セン首相が外国首脳としてクーデター後初めてミャンマーを訪問し、軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官と会談した。ASEANのコンセンサスを得たうえでの訪問ではなく、フン・セン首相の「スタンドプレー」だったとみられる。





1月18、19日に予定されていたASEAN外相会議は「コロナ感染防止」を理由に延期された。ASEAN関係者は「ミャンマー問題で外相会議が紛糾するのをカンボジアが回避したかったため」と延期の理由を推測している。









▲写真 カンボジアのフン・セン首相 出典:Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images





ミャンマー問題で、厳しいスタンスをとるインドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、フィリピンと、一定の理解を示す親中派のカンボジア、ラオス、軍政のタイ、一党独裁のベトナムの間には温度差が生じている。ASEANとして、ミャンマー問題解決の道筋を探るための統一行動をとることが難しくなっているのだ。





軍政は2月1日のクーデター1周年を前に国内治安維持の成果を上げるために各地で武装市民組織「国民防衛隊(PDF)」や少数民族武装勢力への攻勢を強めており、こうした強硬姿勢が一般市民への拘束、拷問、虐殺などにつながっている。軍政の人権侵害に対して国際社会は何らかの行動をとることが迫られている。





タイ・バンコクに拠点を置くミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると1月14日現在ミャンマーでクーデター以降殺害された市民らは1469人、逮捕・拘留されているのは8603人に上るという。





トップ写真:軍事政権軍によるデモ隊への発砲で亡くなったアウン・カウン・テットさん(15歳)の葬式で、泣き叫ぶ母親ら。(2021年3月21日、ミャンマー・ヤンゴン) 出典:Photo by Stringer/Getty Images




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