「米外交優先順位の先祖返り」と主要国「国内格差拡大」が最大リスク
Japan In-depth / 2022年1月18日 23時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2022#03」
2022年1月17-23日
【まとめ】
・米外交の優先度はインド太平洋へ移り始めたが、中露イランはバイデン政権をテストし続ける。
・コロナ禍継続で世界経済回復は遅れ格差も拡大。各国の選挙結果次第で主要国間の関係も微妙に変化へ。
・米内政の劣化が著しい。共和・民主両党とも党内事情抱え、バイデン政権は身動き取れず。
日本ではあまり正月気分も感じられないまま、17日から通常国会が始まった。毎年この時期になると「●●年の予測」「重大リスク」といった文章が出回る。今年もその例にもれず、根拠不明の様々な予想がほぼ出揃った。中でも、日本メディアの最近のお気に入りは某グループの「Top Ten Risks」らしい。
同業者の仕事ぶりについてコメントは差し控えるが、2022年の十大リスクは、 ①ゼロコロナ政策の失敗、②テクノポーラーの世界、③米中間選挙、④中国国内政策、⑤ロシア、⑥イラン、⑦二進一退のグリーン政策、⑧各地の「力の空白」、⑨文化戦争に敗れた企業、➉トルコ、なのだそうだ。ふーーん、そうかなぁ?
昨年は ①第46代米大統領、②コロナ後遺症、③気候問題、④米中の緊張拡大、⑤グローバルデータ、⑥サイバースペース、⑦孤立無援のトルコ、⑧中東:原油価格低迷、⑨メルケル後の欧州、➉中南米だった。
さてさて、予測は的中したのか?読者の皆さんはどう思われるだろうか。
更に、2020年は①米大統領選、②技術の分断、③米中関係、④多国籍企業の規制強化、⑤インド首相、⑥欧州の米中との摩擦、⑦気候変動、⑧中東、⑨中南米での不満、➉トルコの挑発、だった。
うーん、そろそろ日本マスコミも前年予測の結果を吟味した上で、どの組織の予測を紹介するかを決めても良いのでは、とすら思う。
それはさておき、筆者の勝手な2022年予測はこうだ。
日本にとって最大のリスクは「米外交優先順位の先祖返り」と主要国の「国内格差拡大」である。
昨年から米外交の優先度はインド太平洋へ移り始めたが、コロナ禍継続で世界経済回復は遅れ格差も拡大、米国内政の劣化で中露イラン等はバイデン政権をテストし続ける、と見る。
更に気になるのが各国の選挙だ。3月に韓国、4月にフランス、5月に比と豪、夏には日本の参議院選挙があり、11月には米中間選挙がある。これらの結果次第では主要国間の関係も微妙に変化するだろう。まずは、3月の韓国大統領選挙が気になるところだが・・・・。
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