窮地に陥るバイデン外交
Japan In-depth / 2022年1月21日 15時45分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・1月20日はバイデン米大統領の就任1年の記念日。
・中露の軍事力を背景にした膨張姿勢に対し、バイデン外交はあまりに不十分との批判高まる。
・バイデン大統領は、在任2年目、対外戦略の基本修正を迫られる見通しに。
アメリカでは1月20日はジョセフ・バイデン大統領の就任1年の記念日となった。だがこの「記念」は明るさをまったくもたらさず、首都ワシントンではバイデン政権の抱えた内憂外患に暗い空気が広がる一方となった。
まずバイデン大統領の外交面での現状をみよう。
ワシントンではバイデン大統領の対外姿勢の根幹への批判が広まってきた。
アメリカ主導の国際秩序を崩そうとする中国やロシアという抗米勢力が軍事力を背景に膨張の姿勢を強めるのに対してバイデン政権は抑止の政策があまりに不十分だ、とする批判である。
確かにロシアはウクライナへの軍事侵攻の構えをみせる。プーチン大統領は米欧に反発する独裁国家カザフスタンへの支援に自国の軍隊を投入した。アメリカや西欧諸国の横っ面を叩くようなロシアの軍事攻勢だった。カザフスタンの独裁政権の理不尽な弾圧の数々は民主主義の欧米諸国から嫌悪されてきた。だがロシアはその嫌悪される独裁政権を守るために自国の軍隊までをも投入したのだった。
中国もアメリカとの対決姿勢を強める。習近平主席は台湾の武力併合への意図をより露わにしてきた。尖閣諸島の日本領海への武装艦艇の侵入も増してきた。
そのロシアと中国が軍事協力を強める。2021年10月の日本海での両国艦隊の合同演習は日本にも衝撃を与えた。合計10隻の中ロ合同艦隊が津軽海峡を通り、日本列島を一周したのだ。
ロシアは日本の北方領土を不法占拠する。中国は日本固有の領土の尖閣諸島を軍事力で奪取しようとする。日本にとってのそんな二大敵性国家が軍事面で手を結び、その軍事力そのものを日本周辺の海域で誇示したのだ。
そのうえにアメリカへの抵抗勢力としてはイランと北朝鮮も健在である。両国とも軍事力を誇示して米国への敵意の言辞を高める。とくに北朝鮮はアメリカが最も忌避する核兵器と長距離弾道ミサイルの開発を急ぐ構えを明示し始めた。
▲写真 北朝鮮のミサイル発射のニュース映像を見るソウル市民(2022年1月5日、韓国のソウル駅にて) 出典:Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images
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