1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

中国の不可解なGDPを考える

Japan In-depth / 2022年1月22日 18時0分

 かつて中国では、常に①投資が②消費を上回っていた。そして、過去、同国では①投資が②消費と比べ、大差は無かったのである(「ノーマルな状態」)。


しかし、「アブノーマルな状態」時には、①投資が②消費の約2倍近くにのぼるという異常現象が起きている。


 仮に、中国共産党の公表した数字が、少なくともGDP及び②消費、③貿易収支に関して、正確だとしよう(ただし、もし同党がこれらの数字を改竄していたら身も蓋も無いが)。


 おそらく、この「アブノーマルな状態」は、中国共産党が④政府支出、特に「公共投資」等を①の投資へ紛れ込ませたために起きたのではないか。それ以外は、考えにくい。結局、同党は、内外からの批判を恐れ、④政府支出をできるだけ少なく見せかけようとしたのではないだろうか。


写真)中国共産党創立100周年を祝うアートパフォーマンス中の習近平国会主席 2021年6月28日中国の北京で
出典)Photo by Lintao Zhang/Getty Images


 他方、中国の政府支出の中には⑴公共投資はもとより、⑵地方政府の赤字補填、⑶ゾンビ企業の延命、⑷企業への輸出補助金等も含まれている公算が大きい。


 確かに、中国共産党による数字の改竄は重大事件だが、⑴〜⑶については、あくまでも国内問題に過ぎない。だが、⑷企業への輸出補助金(正確には、輸出還付金)は問題視されるべきではないだろうか。


 現在、中国はアジア太平洋経済協力(Asia Pacific Economic Cooperation。いわゆるAPEC)へ加盟申請している。しかし、その加盟にあたり、北京政府による企業への輸出補助金は大問題となるだろう。もし、APEC内で、この事が大きく取り上げられれば、中国の加盟は難しくなるに違いない。


 ところで、なぜ、近年、中国は「アブノーマルな状態」から「ノーマルな状態」へ回帰したのだろうか。


 それは、2020年と2021年に、④政府支出が著しく減少したためだと推測できよう。つまり、中央政府による財政出動が抑制されたからではないだろうか。


 ひょっとして、習近平政権は、もうこれ以上の財政赤字拡大(少なくともGDPの300%以上)に耐えられないと考えたのかもしれない。そのため、④政府支出を増やす事ができず、「ノーマルな状態」へ回帰したのではないだろうか。


トップ写真)武漢グリーンランドセンターの屋上で作業する作業員。武漢グリーンランドセンターは中国中部で最も高いビルで、2022年までに完成予定。高さは476m近く、世界で15番目に高いビル。 2021年11月15日 中国湖北省武漢
出典)Photo by Getty Images


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください